無題
春風どれみ【女子21番】は玉木れいか【女子16番】にかたを貸しながら、山の展望台を
目指して歩いていた。
「大丈夫、ちょっと休もうか」
「わたくしなら平気ですは、それより春風さんのほうこそ疲れていませんこと」
「わたしも平気だよ、それよりもこれ貸してあげようか、杖の代わりになると思うんだけど」
「これって、これは春風さんが支給された武器ですわよ」
春風どれみ【女子21番】が支給された武器、それはレミントンMP700ライフルだった。
一見すると強力そうな武器に見えるが、この現状ではあまり役立つ物ではなかった。
まず第1にボルトアクションのため一発撃つごとに空薬莢を排出し、また弾をこめなくては
ならなかった。
つまり一発撃ったらあとは棍棒代わりに振り回すことにしか役に立たないのだ。
そして第2にどれみの性格だった。あまりにも優しすぎる彼女には、物陰に隠れて遠くの人間を
狙撃することなどまったく考えられないことだった。
結果、せっかくの高性能スナイパーライフルも、宝の持ち腐れだった。
「別にいいよ、こんなの持っていても邪魔なだけだしね」
「でも・・・やっぱりいいですわ、これは春風さんがもっていらしてくださらない」
「そう、でもわたしこんなのよりもバトルレンジャーセットの方がよかっなあ」
「春風さん、バトルレンジャーセットでは身を守ることはできませんわよ。むしろうらやまし
いぐらいですわ」
「だけど・・・バトルレンジャーセットなら人死なないじゃん・・・」
「春風さん・・・・・・」
その後、2人の少女は黙したまま、夜道を歩いていった。
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