ルール説明・3






鳥嶋はどこからかカードダスの機械を取り出した。
「みんなの漫画のカードダスがここに入っていまーす。一番の人はこれで選んでその人から後は、アンケート順でーす。
ちょっと待ってなー」
鳥嶋はポケットから糸のついたコインを取り出し、気取った手つきで機械に入れるとガチャガチャと回し始めた。
その時、冨樫義博が声を上げた。これまた藤崎と同じく平静な、しかしこちらは冷たい感じの籠もった声だった。
「いつ始まるんだ、このゲームは」
みんなが冨樫のいる最後列の席を振り返った。
(荒木だけが振り向かなかった。荒木はなぜか先刻呑んだブランデーを反芻していた)
鳥嶋が手を動かしながら答えた。
「ここを出たらすぐだよ。だから、とりあえずみんな、身を隠してそれぞれ作戦を練った方がいいかも知れないなー。
今ちょうど夜だし、ようやく頭冴えてきた頃なんじゃないかー?」
冨樫は特に返事をしなかったが、それでようやく、尾田は今が真夜中、午前一時――いや、既に一時半近くなのだとわかった。
いつもならこの時間くらいから筆が乗りはじめるのだが。
鳥嶋がハンドルを回し終わり、中からカードを引っぱり出した。ほ、というように口を丸くすぼめると、
「これは剣心ですね。一番、和月くん」と言った。



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