キユvs冨樫:戦士キユ
キユの目の前に、冨樫が背中を見せて座っていた。
キユは息を整えた。最大の使命を果たすときがきたのだ。
――ジャンプの戦士として。
『覚悟はいいですか、戦士ストライプ・ピュアロケット・キユ?』
頭の中にジャンプ編集の声が聞こえてくる。
ええ、もちろんです。持ちこみをしたときから、僕には
わかってました。僕はジャンプを変えるために生まれてきた
のだと。そのためには、あの男を打ち倒さなければ。
手抜きの絵、原稿落としまくり、巻末コメントの暴言。
そんなものがジャンプに載っていていいはずがない。
そんなものが連載を続けているなんてジャンプに対する冒涜だ。
ついでに僕の巻末コメントを無視しやがって、この男は。
死ぬべきだ。
雨が降っている。このジメジメした感じが妙に人殺しにふさわしくて
エロチックだと思いません?冨樫先生。
あ、もう答えは期待しませんよ。
キユはナイフを構えた。
『よろしい。あなたは選ばれた戦士です。あの男を倒しなさい!』
そうすれば僕に連載をさせてくれますね?
たしかに僕の漫画は時代の先端を走りすぎて、世間はついて
これなかったけど。いつかみんなわかるはずだ。
僕こそがロック。僕こそが、ジャンプの救世主だと!
『オーケイです。もちろんです。編集を信じなさい。さあ!』
キユはナイフを構えて冨樫へ走り寄った。冨樫は振り向きもせず
腕だけを背後に伸ばして軽く振った。
Gペンがキユの胸に突き刺さる。もう一本は額を貫いていた。
キユが仰向けに倒れてこと切れる。
戦士ストライプ・ピュアロケット・キユの魂は、光の漫画の世界へ
つきぬけて消えていった。
【キユ 打ち切り】
【残り4人】
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