オープニング






硬い金属の上でウルトラ警備隊隊員、モロボシ・ダンは目覚めた。 
「一体、ここはどこだ。」
ふと違和感を感じ、周りを見渡す。
気付いてはいたが周りには確かに人が居る。
目覚めたもの中にはは不安や怯えを声に出して訴えている者も居る。
だが、近くに居るはずだというのにまるで遠くに居るかのような違和感。
そして、隣に居るであろう男の顔もはっきりとわからない。
ウルトラセブンである彼にとって、透視能力で暗闇でも相手の顔は分かる筈なのだ。
(この部屋はまるで、異次元空間の様じゃないか・・・) 
だが、彼の感じた違和感はそれだけではない。
この空間の中に誰なのかまではわからないが、少なくとも自分を含めて二人はウルトラ族の者が存在する事。
そして、それに近い光の戦士の存在が居る事も。
(一体、これだけの人を集めて何が起ころうとしているんだ・・・)
ダンの疑問はすぐに明かされることになる。
 
突然、不安定だった空間が安定する。
つまり、ダンの感じていた違和感が無くなったのだ。
そして周りがはっきりと確認できる状態になった時、会場の全員に何物かの言葉が響き始めた。

お目覚めかね、諸君。」
その低い声はスピーカーから流れるようなものではなく、
直接頭の中に響いてくると言った方が良いだろう。
「ここに居る何名かは私のことを知っているだろう。
 私は大首領。さまざまな組織を束ねてきた者だ。」
大首領と呼ばれた人物の言葉に嘘は無かったのだろう。
確かに何名かの人物の動揺が見てとれた。
「さて、ここに集められた貴様らには殺し合いをしてもらう。
 ルールの説明は二人の人物に任せよう。」
 
大首領の言葉に会場はざわつき始める。
そして大きな金属音がすると、会場の中央にステージがせり上がり二つの異形の姿が見えた。
「では、早速だがルールを説明しよう。」
円柱型の透明な筒にすっぽりと頭を入れたこうもりのような姿の男。
「エージェント・アブレラ!」
ツンツンとした頭の青年が叫ぶ。
「赤座伴番。ひさしぶりだな。
再会の挨拶を忘れていたのは悪かった。が説明の最中に口を挟むなんて行儀が悪いじゃないか?」
「ごちゃごちゃ、煩え!お前達の企みなんて俺がぶっ潰してやる!」
S.P.Dの誇りにかけ、
「君、今この状態で彼らに逆らうのは止した方がいい。」
ダンが今にも突っ込んで行きそうなバンを止めようとするが一足遅かった。

「エマージェンシー!デカレンジャー!」
バンがそう叫ぶと形状記憶宇宙金属「デカメタル」製のスーツに包み込まれる。
「フェイス・オン!」
そして赤いマスクが頭部を覆う。
「デカレッド!」
デカレッドとなった赤座伴番。
しかし、いつも使用している装備が見当たらない。
それにも構わずデカレッドはアブレラの方に突っ込んでいった。

しかし、アブレラを狙った拳は赤い異形の怪人に遮られる。
「威勢が良いのは構わないが、貴様に我々は倒せん。」
 軽々とそのまま投げ飛ばされるデカレッド。
 しかし、バンはそれに構う事無く再びアブレラに挑む。
「まだ、向かってくるのかね。ヤプール、デリート許可を願いたいが?」
「構わんさ。それで他の者達も逆らう気にはならんだろう。」
「ふざけた事、抜かしてんじゃねえ!」
 デカレッドは二人の会話に激昂する。
「デリート許可も出たことだ。さらばだデカレッド。」

響き渡る爆音。そして同時にデカレッドの頭は無くなっていた。
バンの名を叫ぶ声が悲痛にも会場の全体に響く。
それを遮るのはアブレラの声だった。
「少し説明の順番が変わってしまったが仕方が無い。
 今のように我々に逆らえば君達に付けておいた首輪が爆発する。どのような超人でもだ。
 首輪にはその他、条件がある。
 首輪を無理に外す、もしくは強い衝撃を与える事。
 我々が指定するエリアに進入する事。
 そして24時間以内に誰も死なない事だ。
 ちゃんと守れば何も問題は無い。」

今度はヤプールが口を開く。
「では、ルール説明としよう。これからデイパックを配る。
 この中には数食分の食料・水、それに参加者の名簿・筆記用具・地図・コンパスが入っている。
 そして、ランダムに武器となる支給品を入れておいた。
 うまく使えば、如何な超人でも倒せるものさえ入っている。
 デイパックを受け取ったらこちらで用意した島の中でバラバラに配置し殺戮劇を行ってもらう。
 開始と共に6時間ごとに放送で死亡者と禁止エリアを発表する。」

説明が終わるとまた全員の頭の中に大首領の声が響き渡る。
「さあ、ゲーム開始だ。」

【赤座伴番@特捜戦隊デカレンジャー 死亡】
【残り50人】




前話   目次   次話