OP






ある者は休息中に、ある者は仕事中に、ある者は学業中に、ある者は私事中に、そしてある者は執筆中に、強い目眩を覚えた。

そして次の瞬間、暗い暗い空間の冷たい地面に、その足を下ろした。


〜〜〜バトルロワイアルパロディ・書き手ロワイアル、開幕〜〜〜

「こんにちは、書き手と、そしてまとめの皆さん」
よく通る声が暗い空間に響く。
誰もなにも喋らず、声がした方向を見遣る。
「皆さんにはこれから」
そこで声を一旦途切らせ、声の主は満面の笑みを浮かべ。
「殺し合いを、していただきます」

そう言った。
「―――バトルロワイアル?」
誰かが怯えた声で呟く。
それを聞き、周囲の人間たちも騒ぎはじめた。

「何で―――」
「―――誰だあんた」
「どうやって―――」

今にも声の主に掴みかかりそうな空気が流れるが、何故だろう。

誰一人、声の主に近づこうとしない。

「流石に皆さん、心得てらっしゃる」
声の主はそれはそれは楽しそうに言い、30人はいようかと言う人間たちを見回す。
緊迫と沈黙が交わり、時間が止まったかのような錯覚を生み出す。

「………ふざけるなよ!」
沈黙を打ち破るかのように一人の男が叫ぶ。
「そんなことがこの日本で許されると思ってるのか!?今すぐ俺を戻せ!」
(馬鹿………)
彼以外の殆どの者はそう思い、一歩下がった。

「いいか、俺が本気になればあんたを裁判で訴える事だって出来るんだぞ!」
空気を余りにも読まない陳腐な発言に、呆れるように、恐れるように一同は目を瞑る。

「やれやれ、現実世界でも変わらないんですね、勉強男さん」
声の主は汚らしいものを見るような目つきで男を見る。
勉強男と呼ばれた男がいきり立って声の主に詰め寄ろうとする。その時。

「待ちたまえ、勉強男君とやら」
大柄の、逞しい肉体を持つ男が勉強男を制止し、声の主と向き合う。

「貴方は―――ジャンプの旧まとめさんですね?自分が何をやっているのか、無論わかっているんでしょうね?」

「・・・旧まとめ、か。俺は、ただの逃げ出した男さ。自分へ課した義務からな」

【ジャンプの旧まとめ】と呼ばれた男は、自嘲気味に言って、そして、なんの前触れも無く声の主に飛びかかった。


(思えば、俺はあの時、ジャンプのまとめブログを放棄するときまで、ずっと人生の障壁から逃げ続けていた)
【ジャンプの旧まとめ】は、ぐんぐん迫る声の主の驚きの顔を見ながら、不思議に落ち着いた気分で考える。
(俺はあの日から、今まで逃げ続けて前を向かなかった自分から卒業するために、ネットを自らに禁じ、心と体を鍛え続けてきた)
いま、恐らくはまだ見ぬ後輩達に迫る危機。愛すべきロワの発展を願う気持ちは、あのときから微塵も変わらず。

("みせしめ"・・・恒例行事、と言うべきなのだろうな。だが―――)
今の時点では、首輪は填められていない。ここに一瞬で連れて来られた事から、声の主が特殊な力を持っていることはわかる。
だが、先手を打てば、同じ人間である以上、倒せないはずが無い。

「ふふふ、同じ人間?愉快なことを考えますね」

(!心を―――?莫迦なッ!?漫画じゃゲームじゃあるまいし・・・)

一瞬の驚愕は、彼の走行速度を遅らせ、やがては止めた。

「私は怨念―――無念が集約し、理不尽な終結が収束し、そして私は生まれた」

声の主は、右手を上げた。

「――だから、この私が負けるわけにはいかないんです!」

右手から七色の光線が飛び出した!
「ぉぎょいあういぎゃああがかが」
それを受けた【ジャンプの旧まとめ】の身体は…溶けていく、溶けていく。
「な………七色の、光線………」
誰かが惚けた声で言うと、声の主は左手に空を切らせ、人間たちに魔法のように首輪を填めさせた。

「ルールは言うまでもないでしょう。貴方がたがいつもやっていることです。ただし、今回貴方がたは安全圏にはいませんがね」

そして、彼等は気付いたら寒い寒い空間の、孤島の大地にバラバラに存在していた。


〜〜〜ゲームスタート〜〜〜


【主催者の部屋/C3(舞台中心)/一日目0:00】

【ジャンプの旧まとめ@ジャンプロワ 死亡】
【残り28人】




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