雪だるまは殺人鬼







それは雪というには大雑把すぎた。
大きく、丸く、そして冷たかった。
それはまさに――

『……畜生』

――雪だるまだった。
三つの雪玉をくっつけたような外見をした雪のだるま。
人間なら首に当たる部分に、太ましい首輪がある。
雪だるまは、その首輪が気に行っていなかった。だが、なぜかどうやっても外せないのだから仕方がない。
そう簡単に爆発などしなければ、無視していてもいいものだろう

本来なら動くはずのない雪だるまが、まるで人間のように行動し、思考する。通常ならありえないことだ。
だがこの雪だるま、もとい凶悪な殺人犯であるジャック・フロストには、自分がいかに常識外れな存在であるかどうかなど関係のないこと。
得体のしれない化学薬品と人体の神秘により、雪と遺伝子レベルで融合した、意志のある殺人雪だるま。
それが彼、キラースノーマン(殺人雪だるま)だ。
さてなぜそんな彼が悪態をついているのかというと、彼の特性がある行為を邪魔しているからだ。
全身が余すところなく雪、つまり水分でできている彼は、精密機械の操作には向かない。
ジャックの足元に落ちている水浸しの上に完全にショートしたスマートフォンが、それを優に表している。
これじゃあルールやら名簿を再確認すること自体が不可能だ。

『……まぁ、良い。チャチャッと皆殺しにすれば済むじゃねえか』

ジャックは己が最強だとは思わない。だが、無敵だとは思っていた。
銃弾も刃物も、この雪の体には無意味。
たとえ何らかの方法で溶かされ、水にされたとしても即再生できる。
加えて自分の姿も都合が良かった。
一体どこの世界に、近所の子供が戯れで作ったようなデザインの雪だるまを警戒するだろうか?
人の無警戒を誘うこの雪だるまとしての姿には、"死んだ"あとのジャック・フロストの大きな助けになった。
勿論、殺人やらレ○プといった犯罪的な目的で。
そんなジャックに、今更殺人への蝶々など糞ほども無い。

『……ひひひひひひひ。少しばかりこのジャック様が、楽しく雪遊びしてやるぜぇ』

ジャックの顔の部分が裂け、歪な笑みを浮かべる。
ギラギラと、鋭い歯……ではなく、人の頭でも一撃で噛み千切れそうなほど鋭い氷柱が、牙のように生えていた。


【7―E住宅街/一日目・深夜】

【ジャック・フロスト@キラースノーマン】
【状態】狂気、健康
【装備】
【道具】基本支給品、不明支給品三つ
【思考】基本:無差別マーダー
T:今はまだ夜だから良いが、朝になって気温が上がる前に気温が低いところに行っておきたい
【備考】
※スノーマンとなり、警察から逃亡して各地で殺人を行っていた時期からの参戦。
※制限あり。雪の状態から溶けて液体になっても再生は可能ですが、蒸発して気体になれば死にます
※首輪は外せないようです



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