無題






その頃、予定外の新たなる参加者が、島内へと足を踏み入れていた。

ある意味では、最も危険な男―――。

彼は島内で早速最初の獲物を見付けると、
いやらしく舌なめずりをして、自分の幸運に感謝した。


彼の前には、一人の少女が歩いている。
年の瀬は15〜6、だいたい高校生ぐらいといったところだろうか?
生憎顔はメットのようなものに包まれており確認出来ないが、
短いスカートから時折見え隠れする純白の下着、
そしてなにより、若さと青春の匂いを感じさせる大腿部が艶かしい。
それは、彼女を獲物たらしめるに十分な要素であった。

少女はまだ、自分の存在には気付いていないようだ。
それだけ確認すると、彼は早速特別製の小型カメラを取り出す。
少女の通り道を予測して迅速にカメラをセットするその姿は、
見る者が見れば、恐怖さえ感じさせられるだろう。

彼の持つ特殊カメラには、被写体を写真の中へと閉じ込める効果がある……
わけはなく、それはただ、彼の欲望を忠実に形にする為の道具にすぎない。
だがそんなことはどうでもいい。だって彼は、戦う為にここへ来たわけではないのだから。
「シャッターチャンス!」

彼は心の中でそう叫んだつもりだったが、興奮が高まりすぎて理性を抑え切れず、
つい口に出してしまったようだ。

「えっ? ……きゃーっ!
 どうしてこんな所にまで、カメラ小僧さんがいるのよー!」

事態に気付いた少女は、顔を真っ赤にして一目散に逃げてゆく。
その光景は、彼にえもいわれぬ快感をもたらした。
……いや、正確には、顔はメットで覆われ見えないはずなのだが、
彼は勝手に脳内で恥らう少女の図を補完したので、何も問題は無い。
自身の脈打つ活火山を木陰で鎮めた彼は、
まだ見ぬ次なるターゲットへ向けて、歩を進め出した……。

「ミニにタコ、ミニにタコ……」

これも全て、日頃の行いが良いからだろう。
この場所を教えてくれたしむけんには、いつかお礼せねばなるまい。



死の恐怖でさえも、彼の性欲には勝てない。
彼の名は、マーシー。
ある意味、最も危険な男……。

【「ワンダーモモ」 モモ 変身 生存】
【「田代まさしのプリンセスがいっぱい」 マーシー 生存】



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