冒険家の推理






「やはり、裏があったか・・・」

チャレンジャーは志村が分校から出てきたのを確認すると、
身を潜めていた茂みから這いずり出た。
不本意だが止むを得ないという感覚で出ていったものの、
どうしても気になることがあり、分校を出てすぐの場所に隠れていたのである。
分校の側でいきなり戦闘が始まったりもしたので
不安にもなったがどうにか隠れきっていた。

(このゲームの目的は何だ?)

それがチャレンジャーの疑問だった。
冒険家の彼にとって、謎の存在はまさに原動力である。

(面識もない他人を殺し合わせるだけなら目的も見えないが、
ああやって秘密裏に身内を送り込んで来るところを見ると
確実に何かがあるな・・・そして・・・)

チャレンジャーの推理は続く。

(おそらく連中の息のかかった者がまだ存在している・・・!)


急襲、シザーマン



瞬間、チャレンジャーは身を伏せていた。
頭の上を大バサミが掠める。

「キーヒヒヒヒィ!」

シザーマンだ。手には愛用の大バサミが握られている。

「・・・その武器が手元にあるのは偶然か?」
「キヒヒヒィ!」

チャレンジャーの問いには答えず、襲い掛かるシザーマン!

ガシャンッ。「キヒャァーッ!?」

と、突然シザーマンが悶え始めた。
誰かが投げつけたビンの中の液体が効いているようだ。
そのままシザーマンは逃げていった。

「大丈夫でしたか?」

呆然とするチャレンジャーの前に、一人の男が現れた。

「俺はシモン。シモン・ベルモント、ヴァンパイヤハンターです」


忠告



「いや、どうも。助かったよ」
「まさか聖水が通じる相手がいると思いませんでしたよ」

シモンはそういうと聖水の入ったビンを見せた。

「なるほど、聖水か。あれは化け物ということかな?」
「違うと思います。邪悪に魅入られたのは間違いないでしょうが」
「君はこれからどうするんだ?」
「俺の相手はここにいる人達じゃありません」
「そうか。なら、忠告しておこう。敵を見誤るな。本当の敵を見つけるんだ」
「それはどういう意味ですか?」
「これ以上はまた会えた時にしよう。ありがとう、本当に助かったよ」

チャレンジャーはシモンに礼を言うと歩き出した。
敵の正体がわからない以上、一人で調査を続けた方がいい。

「まだ、これには気付かれたくないしな」

ブーツには彼の切り札が眠ったままだ。

【「チャレンジャー」 チャレンジャー トンファー、???所持 生存
「悪魔城ドラキュラ」 シモン 聖水所持 生存
「クロックタワー」 シザーマン 大バサミ所持 生存】



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