トンネルの中で






「ボンちゃん、元気?静かになっちゃったけど」
「ボンちゃん言うな!頼むから!」

ボンバーマンはかなり後悔していた。
武器支給直後、ディグダグと名乗る男に「俺達が組めば勝てる!」と
言われ、ついついその気になって付いて来てしまったのだ。
さぞ立派な戦略が・・・と思いきや、ディグダグはいきなり地面を掘り始め、
それから延々とトンネルを掘りつづけているのである。

「ボンちゃん」
「何だよ?」

ディグダグが手を止めた。

「腹ごしらえしない?」
「俺、ロボットだから・・・」
「あ、そっか。んじゃ、とりあえず休憩ってことで」

呑気にパンを食べ始めた。
正直、爆弾で吹っ飛ばしてやりたいのだが
穴掘って逃げそうなので止めておいた。

「飯食ったらさ」
「?」
「戦闘開始と行きますか」

ディグダグはこれから悪戯を実行する少年のように笑った。


作戦開始



「・・・随分待たせたな。で、俺は何をすればいい?」
「まぁ慌てなさんな。今、俺達はここにいるのな」

ディグダグは地図の一点を指差した。

「廃ホテルのあたりだったのか」
「ここで仕掛ける。頼むよ、ボンちゃんにかかってるからね」
「だからボンちゃんって呼ぶなと・・・」



――――――数刻後。

ホテルで仮眠を取っていたワルキューレは目を覚ました。
今、確かに建物が揺れた。

「もう地震くらいじゃ驚く気にも・・・」

最もな感想だ。
突然拉致され、首輪をされ、「殺しあえ」と命令され。
これ以上、何を驚けというのか。
その時。

ドンッ!!

爆発だ。ホテルの・・・1階のフロントあたりから音がした。
部屋を飛び出し、すばやく階段を駆け下りて行った。


完全なるコンビネーション



確かにフロントのあたりが黒焦げていた。
ワルキューレはしばらく考えると、裏口へ回ることにした。
まだ敵がフロントにいるかもしれない。
気持ちの整理のついていない彼女に戦意はなかった。
裏口へ辿り着くと・・・そこにディグダグとボンバーマンがいた。

「・・・Bomb!」

ズシン。地面が軽く揺れた。さらに次の瞬間。

ズドドドドドッ!!

なんと地面が一気に崩れ落ちたのだ。
何が起きたか分からぬうちに、ワルキューレは埋められ、息絶えた。

「地面を陥没させるとは・・・凄まじいな」
「俺が穴掘って地盤緩くして、ボンちゃんが爆破して崩す。完璧でしょ?」
「どこで覚えたんだ、こんなこと?」
「俺、昔からこんなのばっかりさ。削岩機だけで島沈めたりとか」

そう言ってディグタグは笑った。

「これなら相手に気付かせずにやれる。勝つのは俺らだ。どうだい、ボンちゃん?」
「あぁ、よくわかった」

ボンバーマンは苦笑しながら頷いた。

「その代わり、ボンちゃんは止めてくれよ」

【「ディグタグ」 ディグダグ、「ボンバーマン」 ボンバーマン 生存】
【「ワルキューレの伝説」 ワルキューレ 死亡】
【残り44人】




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