悩み続けて……






旅立って後、長い月日が流れた。だが拙者は巨大な謎に
ぶつかり、未だ本懐を果たしていない。己の不甲斐なさを
思い知り、命を懸けて修行をするべくここを訪れたのだが、
「何をブツブツ言っておる?」
うぐ。目の前の老人は、先刻拙者に白い紙を渡した。何でも
これは宝の地図で、謎を解けばその在り処が解るという。正に、
拙者の修行にはうってつけだと思ったのだが……
「解ければお前さんの勝ち、解けねばわしの勝ち。負けた方が
この場で自害するという約束、忘れておらんな?」
「ぶ、武士に二言は無いっ! だがお主、これは本当に解ける
謎なのだろうな? どう見ても、ただの白紙にしか見えぬぞ」
「これはしたり。この地図は、わしの世界の正真正銘、クリア必須
アイテム。インチキ品などではない。……限りなく、それに近いが」
「何?」
「いや、何でもない。それより、ほれほれ。そろそろ制限時間じゃぞ」
約束の、四半刻(三十分)が過ぎようとしている。
「ぅぐぐぐぐ……ええぇぇいっ、解らんっ!」 (ぼぼぼぼっ!)
あ。不覚。ついうっかり、火炎弾をぶつけてしまった。うわ。焦げてる。
……天地神明に誓って、わざとではない。信じてもらいたい。
「南無阿弥陀仏」
と拙者は手を合わせ、白紙を持って立ち去ることにした。この謎を
解ければ、拙者がぶつかっている謎も解けるかもしれぬ。そうすれば
『奴』を倒せるやも……嗚呼、それにしても。なんと難解な謎なのか。
「ひろば三 なぞ四の えど二八 み六ん な七のみ……か」

青年剣士、鷹丸。彼は延々十七年間、悩み続けていた。

【『謎の村雨城』 鷹丸 悩みつつ生存。意外と短気らしい】
【『たけしの挑戦状』 謎の老人 卑怯な勝負を仕掛けて焼死】



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