最強ライダー決定戦
奴は甘い、甘過ぎる。不死身の俺が言うのも何だが、命を賭けない
ライダーなど、ライダーではない。
いい気になって前を走ってる、赤いあいつ……E・バイクの野郎は、
敵を転ばせることしかしらず、したことがないという。甘い男である。
ここは一つ、このM・ライダー様が教えてやろう。真のライダーと
いうものを。わざわざ前を走らせてやってる理由も含めて。
俺は無防備そのものの(そういえばバックミラーもついてない)、
奴の背中に狙いを定めた。機銃で撃たれて死ぬか、あるいはハデに
転んで死ぬか。充分に間合いを詰めて、と……さあ、喰らえっ!
……なっ!? あ、当たってるのに平然と走ってる? そんなバカな!
と思ったら奴が急にハンドルを切った。奴の体に隠れて見えな
かった前方の水溜りに突っ込んでしまい俺のマシンはスリップ、転倒っ!
く、くそっ、俺としたことが。早くマシンを起こさねば、
「残念だったな、M・ライダー!」
奴が、Uターンして戻ってきた。こっちはまだ、片足がマシンの
下敷きで、身動きが取れない!
「俺は確かに、あんたみたいに生死を賭けた戦いの経験はない!
あんたのような武器もない! だが、俺とこのマシンはな……」
ちょ、ちょっと待て何をする気だ、おい、バカ、来るなっっ!
どぐわしゃっ!
「背中だけなら、あんたより強い! 少なくとも、追突されて
クラッシュするような、ヤワな背中はしてないぜっ!」
……と誇らしげに言いながら、E・バイクは俺のハラとアゴを
ジャンプ台にして、高く高く跳んでいった……
【『マッハライダー』 主人公 重度のムチウチ症】
【『エキサイトバイク』 主人公 ゴール・イン!】
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