運命
「畜生!あんな事しやがって…!」
俺、前原圭一の今の率直な気持ちは「怒り」だ。
ただでさえあの訳が分からない殺し合いに巻き込まれただけじゃなくて、目の前で知恵先生くらいの年の女の人の首が―――飛ばされた。
「…!」
あの光景を思い浮かぶ度に、俺の食べた物が逆流しかける。
むしろ今まさに喉に突っ返てるくらいだ。
俺はその突っ返てる異物を無理にでも胃に戻す。そのせいか自然と喉が渇いた。
「確か水があったはずよな」
俺はディパックを開け、中に入っていた水が入っているペットボトルを一気に飲み干すと、ついでに中を見てみた。
「…嘘じゃないんだな」
中に入っていたのは小さい銃と、少し重い武器らしき物、それと何かのトロフィーだった。
トロフィーを入れた理由を分からないけど、この銃と武器らしき物をみると、本当に殺し合いに巻き込まれたと相変わらず自覚した。
それだけじゃない。中に入っていた名簿を見てみると、俺の知り合いがわんさか居た。
魅音、詩音、沙都子…そして沙都子の兄、北条悟史。
「なんでなんだよ…!」
レナや梨花が巻き込まれていなかったのは良かったけど、それでも知り合いが居たのには変わりは無い。まさに、最悪だ。
「いや、違うッ!」
俺はふと呟く。
俺の脳内に浮かんだのは、あいつらと一緒に過ごした日々、そして、打ち破った運命。
「…そうだ!運命ってのは、打ち破れるんだ!例え時代に逆らっても!」
だったら、一緒に運命を打ち破る仲間を探そう。
そう思い、俺は歩みを進めた。
◇◇◇
少し歩いた俺の目に入ったのは髭を生やし、着物に身を包んだ男の人だった。
年齢は分からないけど、いわゆる中年の部類に入ると思う。
「とりあえず、話してみるか」
俺は少し近づきつつ、男の人へ話しかけるチャンスを伺う。
徐々に、徐々に。
それでこそまるで腹の探り合いをしているかの様に。
「…おい」
「!?」
先に感づいたのだろうか。男の人がふと呟く様に言った。
「お前だお前。そこの少年」
「あ、はぁ…」
先に感づかれてた。畜生。
というか、こうやって俺が行ったのも悪かったけど。
そ、それにしてもこの人やけに年齢の割には体つき良いな。大体この年くらいのの人は大体太ってたりするんだけど…
そ、そんな事より、頼りになりそうだし、誘ってみるか…
「お、俺は前原圭一っていいます。いきなりですけど…ど、どうかこの殺し合いを一緒に止めてくれませんか!?
一人でも運命を打ち破る為の仲間が欲しいんだ!どうか、頼みます!」
俺は頭を下げ、男の人に頼む。
下手に殺されても、文句は言えない。
「…分かった、協力してやる」
ふぅ、と息をつき、目の前の男の人はやけに子供らしい笑顔をみせ、そう言ってくれた。
「あ、ありがとうございます!えっと名前は…」
「曹操、字は孟徳」
「そ、そうそう?…わ、分かったよ曹操さん。俺は前原圭一。よろしくお願いします」
そう言い俺も同じ様に笑顔を見せる。
曹操さんは着ていた着物を締め直すと、夜の道を一緒に歩きだした。
◇◇◇
(…面倒な事に巻き込まれた様だな)
曹操は一人考察していた。
あの赤壁で圧倒的敗北をしたと思って業火を駆け抜けていたと思っていて、目が覚めたらこれだ。
しかも名簿には死んだはずの呂布や郭嘉が生き返っているのだ。
信じがたいが、この少年を見れば少し信用しなければならない。
少年、圭一は自らの事を知らなかった。江南の童子でさえ知っていたというのに、圭一は知らない様だった。
死人が生き返るのは信じがたいが、間違いなく連れてこられているのは全員別の国や場所なのだろう。
(…しかし、運命か)
運命、その言葉に曹操は同意したのに等しい。
運命は従う物では無く、自ら作る物。なのに圭一はそれを打ち破ると言っていた。
(圭一、お前の運命の打開とやらを教えてもらおうか…ま、俺が死んだらそこで終わりだが)
曹操が見上げた空には、満天の夜空が広がっていた。
【D-6/森】
【曹操@蒼天航路】
【状態】健康
【装備】無し
【持物】基本支給品、不明支給品0〜3
【思考・行動】
基本思考:圭一と行動し、運命を打開出来るかを知る。
1、郭嘉とは一度話をしたい。
2、しばらくは圭一に従う。
※赤壁の戦い終了後からの参戦です。いわゆる「くどい」から
【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】
【状態】健康
【装備】ワルサーPPK(6/6)予備(40/40)@現実
【持物】基本支給品、WBCトロフィー@WBC日本代表、青竜偃月刀@蒼天航路
【思考・行動】
基本思考:主催を倒し、運命を打開する。
1、しばらくは曹操さんと行動。
2、魅音達と合流したい。
前話
目次
次話