厨スペックキャラロワ
眼前に横たわるもの見て、私は口の端が薄くながらも吊り上がるのを感じました。
彼らは、多元を渡り、時間を超え、一人一人を丁寧に吟味し、私が集めた寄りすぐりの命たち。
選ばれた「命」でございます。
――ああ、自己紹介が遅れてしまいました。申し訳ございません。
私、カリスマデビル様にお仕えするただ一人の「魔守」。しがないフーリガンの身でありながら、
悪魔軍の補佐をやらせてもらっていますポーカードと言うものです。以後、御見知りおきいただければ
幸いでございます。
はてさて、今わたくし、こうして皆様の前でお見せするにはまことに無礼な態度なのですが、
常にない――彼方の宇宙創世を見届け、しようもない契約を結んだとき以来の――興奮と期待に震え、
また、俄然としてささやかではありますが、感動というものに無様なこの身に浸しております。
恥ずかしながら、「未来を見据える」などと、果たして無限の記憶の外にある感覚を思い出しているのです。
無限の想像を巡らせ、そこに生まれる悲劇を、喜劇を、そしてあっと驚く超展開を瞼の裏に思い描くだけで、
ああ私は、心地よき感覚に満たされ、それはそのまま私の【生きる糧】となります。
ああ、命とはなんと素晴らしきことか。彼らに比べると、感情も時間も持たずとする深層の神々たちの無機さ、
愚象さが目に見えるほどに浮き彫りになることでしょう。間違いありません。
今回のこの企画……これもまた、退屈をもてあまし、つまらない彼方のお相手をしているとき、
とある名もなき次元の、小さな命の世界から偶々見つけ出したものでございます。
しかしながら、この概要について、もはや皆様はとっくにご存じであるのでしょう。
このような素晴らしき事柄を生み出し、発展させてしまう感性と探究心……全くもって、羨ましい限りでございます。
そして、私がこの企画を持ちかけた際に快く二つ返事をしていただいた我が主、カリスマデビル様には
このポーカード、尊敬と畏怖の念を改めて感じずにはいられませんでした。
心の広く、器量の大きな偉大なる存在に仕えることができることほど、「お守り」の時代から別れたものの、
天使や悪魔と言った存在に仕えることを旨として生きる我ら「聖守(サポーター)」や「魔守(フーリガン)」
にとって幸せな事情はありません。
しかし――と、私が口にできることではございませんが――あなたも皆さまも、物好きなものでございます。
いえいえ、煽っているわけではございません。謙遜なさらずともよろしいのです。
無限に存在し、意味もなく増え続ける宇宙から見れば、あなたは、皆さまはの趣味は小さなものなのですよ。
例えそれが外道と言われることでありましても、なにも気にすることはございませぬ。
その方の意見ですら、無限のうちにある一つに過ぎないのですから。
しかし、彼らは中々起きないものですね……最も、彼らが皆様をお待たせしているという気持ちを持つ必要はありませんが。
それに、時間のある皆様にとっては、『待つ』ということもまた楽しみの一つでありましょう。
お恥ずかしいことなのですが、本来時間のない私ですら、こうして時間のある世界に身を任せるだけで
この胸が張り裂けるほどの気持が沸き立っております。
もういつ私を覆う皮をバキッとやっちゃりらんデスますノすけのランランルー★ ……ごほん、失礼。
私を覆う皮をはいで本来の姿に戻ってしまうものか……まぁその時はその時なのですが。
「ん…………っく……?」
おっと、いけません。もう時間がきてしまいましたか。全く時間とは速きものでございます。
いっそのこと、時間ごと破壊してしまおうかと考えるほどでありますが、それでは皆さままで巻き込んでしまうでしょう。
ギャラリーには手を出さないこと、これは主催するものとしての最低のマナーであります。
……それにしても、本来時間のない私が時間を語るなどというのは、考えてみればとても『愉快』な事柄でした。
彼らの寝ざめた目が、焦点を集めながら私を見つめてきます。
どうやらしばしのお別れのようです。残念ですね。私はもっと皆様とお話していたかったのですが……
そういうわけにもいきません。今の私は私のためにやることがあるのです。
私は時の糸からにじむ『混沌(カオス)』を通して伝わる彼らの激情を、
その身にしっかりと受け止めながら、ポーカーフェイスを崩さずにゆっくりと口を開きました。
「お集まりの皆様……楽しいゲームの時間でございます」
【主催】ポー(ジョー)カード@ビックリマン2000・カオスデビル(カリスマデビルX)@ビックリマン2000
【目的】
・カオス:バトルロワイアルを通し、強者の選定。最終的にその肉体を奪って【彼方】の制圧。
・ポー(ジョー)カード 愉快になるため、遊び
【場所】
・宇宙丸々ひとつ。銀河系と太陽系(地球とか月)もちゃんと存在する。
・ただし宇宙空間でも生存できる不思議な場所。
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