闘志、炎と燃ゆ
「行くぞ、ユーゼスっ!!」
「来い、紛い者っ!!」
深夜のビル街の天と地を二体の巨人が駆け抜ける。
天を行くは蒼き魔神。
次元の壁をも突破して数多の世界で災厄を呼び寄せた機体――グランゾン。
地を疾るは赤き勇者。
空より来たる数々の危機を薙ぎ払い平和を齎した機体……の偽物――パワーダクオン。
共に常軌を逸した力を誇る二体の戦いは膠着状態に陥っていた。
大堂寺炎とユーゼス・ゴッツォ。
作品は違うといえど主役とラスボス。
どちらもそれぞれの世界の最強であり、能力的には大きな差は無い。
機体性能はグランゾンが勝っているものの、不慣れなユーゼスでは全力を引き出せない。
共に現状最強形態になれないことからも互角である。
だが、あくまでもそれは本物同士の戦いに限って言えばだ。
ウェストとは違いヨッミーはエンを書いたことが無いのだ。
その分完全にエンには成り切れず、その能力を引き出せずにいる。
とはいえそこで終わらないのが自重しないヨッミー。
「ドリル・トルネェェェド・クラッシャアアアァァァァァ!」
ダクオンを駆る青年、ヨッミーの意に応え変形前の名残を色濃く残していたショベル部分が姿を変える。
―――ドリルだった。
問答無用にドリルだった。
救いようになくドリルだった。
何もそこまで……と突っ込みたくなるほど、ドリルだった。
原作よりもはるかに大きいパワードリルアームであった。
その矛先から衝撃波を発生させつつ、ダクオンの脚部のみキャタピラへと変形。
超高速でグランゾンへと突進をかける!!
速い。
散乱している瓦礫を物ともせず蹂躙し、グランゾンをドリルの射程に捉える。
同時に、脚部を再変形。折り畳まれていた足が展開する反動すら利用し、右足を軸に、ドリルを抉り込む!!
「うおおおおおおおおおおお!!」
足りなければ慣れている分で補えばいい。
エンに加えヨッミーはウェストへのなりきりを重複発動させているのだ。
「行くぞ、ユーゼスっ!!」
「来い、紛い者っ!!」
深夜のビル街の天と地を二体の巨人が駆け抜ける。
天を行くは蒼き魔神。
次元の壁をも突破して数多の世界で災厄を呼び寄せた機体――グランゾン。
地を疾るは赤き勇者。
空より来たる数々の危機を薙ぎ払い平和を齎した機体……の偽物――パワーダクオン。
共に常軌を逸した力を誇る二体の戦いは膠着状態に陥っていた。
大堂寺炎とユーゼス・ゴッツォ。
作品は違うといえど主役とラスボス。
どちらもそれぞれの世界の最強であり、能力的には大きな差は無い。
機体性能はグランゾンが勝っているものの、不慣れなユーゼスでは全力を引き出せない。
共に現状最強形態になれないことからも互角である。
だが、あくまでもそれは本物同士の戦いに限って言えばだ。
ウェストとは違いヨッミーはエンを書いたことが無いのだ。
その分完全にエンには成り切れず、その能力を引き出せずにいる。
とはいえそこで終わらないのが自重しないヨッミー。
「ドリル・トルネェェェド・クラッシャアアアァァァァァ!」
ダクオンを駆る青年、ヨッミーの意に応え変形前の名残を色濃く残していたショベル部分が姿を変える。
―――ドリルだった。
問答無用にドリルだった。
救いようになくドリルだった。
何もそこまで……と突っ込みたくなるほど、ドリルだった。
原作よりもはるかに大きいパワードリルアームであった。
その矛先から衝撃波を発生させつつ、ダクオンの脚部のみキャタピラへと変形。
超高速でグランゾンへと突進をかける!!
速い。
散乱している瓦礫を物ともせず蹂躙し、グランゾンをドリルの射程に捉える。
同時に、脚部を再変形。折り畳まれていた足が展開する反動すら利用し、右足を軸に、ドリルを抉り込む!!
「うおおおおおおおおおおお!!」
足りなければ慣れている分で補えばいい。
エンに加えヨッミーはウェストへのなりきりを重複発動させているのだ。
しかし、それでもまだユーゼスには及ばない。
スパヒロ、一次α、スパロボと伊達に3作品でラスボスをしているわけではない。
「ネオ・ドライブ!!」
彼はドリルが重力障壁に阻まれ、貫くまでの僅かな隙に、グランゾンの秘められた機能を開放。
タンクモードのダクオンを上回る速度で遙かな天へと舞い上る。
追いすがる火球をかわし、十二分に距離を取れたことを確認するや反転。
お返しとばかりに地を這うダクオンにワームスマッシャーを連射する。
これこそユーゼスが選んだ戦術。
近接戦闘で力を発揮するパワーダクオンの手が届かない高空から狙い撃つ。
至ってシンプルだが、勇者シリーズの主役後継機にしては珍しく、
飛行機能を有さないパワーダグオンを相手取るには、なるほど、最も有効な戦い方である。
あくまでも、相手が純正のパワーダグオンであったのなら。
彼の言うようにパワーダクオンはパワーダグオンの紛い物なのだ。
「パワーバスターアーム!!」
本物とは別の武装が搭載されていたところで、何らおかしいことは無い。
そう、例えば。
術式魔砲『Dig Me No Grave(我、埋葬にあたわず)』――ファイア!!」
支給品の超長距離射撃砲を、けろぴー改造時に組み込んでいたとしてもだ!
先刻まで唸りを上げていたドリルに成り替わり、漆黒の砲身が姿を現す。
狙うは天。
大気を引裂く咆哮と共に、砲口から緑色の閃光が放たれる。
思わぬ反撃にユーゼスは眉を顰めるも、距離が開いていたこともあり、難なくビームを回避。
だが、世紀のマッドサイエンティストの渾身の作品は避けられた程度では終わらない。
あろうことかUターンし、背後からグランゾンを打ちつける。
「グオッ!!??」
さしもののユーゼスもワームホールも反射板も無しにビームが曲がるとは思ってもよらずフィールドの展開が遅れる。
これが二つ目の要素。
ヨッミーとダクオンは偽者であるが故に、半端に似ているからこそ別物だと割り切れないーゼスの読みを自然と外せるのだ。
逆にヨッミーの方は一応ユーゼスの性格とグランゾンの能力を把握していることも大きい。
だからこその均衡。
(まずい、か?)
ユーゼスは思考する。
確かに追いすがられてはいるが、このまま戦い続ければ地力で勝るユーゼスに勝機はある。
とはいえ無傷で倒せるほどヨッミーは弱くはない。
何よりグランゾンは一撃一撃の威力が高いからこそ、自己修復機能を省みても、エネルギー消費が大きすぎる。
誰もが起動兵器を支給されてはいないのだ。
この会場に補給ポイントがあるとは限らない。
ヨッミー相手に枯渇し、いざという時にエネルギーが足りないでは話にならないのだ。
(癪だが、ここは退くことも念頭に置くべきか。幸い私にはまだ手はあるのだから)
もしも、もしも彼がこの時点ですぐに撤退を選んでいたのなら、以後の流れは大きく変わっただろう。
されど、それはあくまでもIFの話だ。
現実はそうはならず、遂に運命の時を迎えることとなる。
『ぴんぽんぱんぽーん!!……』
(……あのようなふざけた奴らにこの私が駒扱いされるとはな)
腹立たしい、放送を聞いたユーゼスの感想はただその一言に尽きる。
そもそも名簿には彼がこの世界に来る前から知っている人物の名前は一人も乗ってはいなかった。
来てからは来てからでずっと目の前の贋作と闘いっぱなしだったのだ。
そんな彼がヨッミーと同じく放送を前にして一時動きを止め、睨み合いへと持ち込んだのは、
主催者らしき不思議物体が漏らしていた、
『6時間毎の放送を聞き逃しちゃうと大変だヨ☆』という言葉から、
前回と同じく禁止エリアの発表があると疑っていたからだ。
(それが何だ?あのような終わり方ではどこが禁止エリアか以前に、禁止エリアがあるのか無いのかさえ分からないでは無いか!)
これは本当に戦線離脱するべきかもしれない。
規格外の移動力を誇る巨大ロボ同士の戦いでは、何らかの拍子に禁止エリア入りし、共倒れということも十分あり得る。
ヨッミーが未だに動かないのも、あの放送への対応を図りかねてだろう。
そう判断し、一時休戦を持ちかけようと、回線を繋いだユーゼスは、
「……死んじまったのかよ、空気王」
聞こえてきた生気を欠いたヨッミーの声に、何が起きたのかを理解した。
きっと放送で告げられた名前の中にあったのだ、誰か大切な者の名前が。
(下らない。他者など只の邪魔者にしか過ぎぬのだ。現に今貴様は敵を前にして隙だらけでは無いか)
永遠に生き続けるユーゼスにとって、他人など列車の窓の外の風景と同じだ。
自分が動かずとも……過ぎ去り消えていく。
誰もが、あっという間に過ぎ去っていった。
いちいち失うたびに心を動かしては、正気でいられないほどに。
そこに彼が入る余地など一つもなかった。
「いや、まだだ。ネムレスは、生きている。
それに完結を楽しみにしてくれている奴らの為にも、帰ってみせる!」
(残ってるそいつらまで貴様より先に次々と死んで行ったらどうだ?耐えきれまい)
人の死を悲しむことができるのは、孤独では無いということ。
誰かの無事を祈るのも、帰る場所があることもまたしかり。
それは今のユーゼスがどれほど望んでも手に入れられないもの。
ただ一人の、自分を知り、自分と永遠を共有できる存在とは、決して相容れることはない。
(私とは大違いだ。私は選んだのだ。理想を叶える為に、孤高であることを!!)
逃げるという選択肢はいつの間にか消えていた。
奴が意気消沈している今が千載一遇のチャンスだと言い聞かせトリガーを引く。
グランゾンの胸部の装甲が開放され、その奥の光球が露出。
両腕の部分に埋め込まれた小さな光球との三点による力場で作成した巨大なエネルギー球を天へと撃ち上げる。
そして、たった一つだったはずのそれは、一瞬の目もくらむような輝きと同時に、分裂、拡散。
あらゆる光を飲み込む闇色の雨と化し、大地へと降り注ぐ!
「グラビトロンカノン、飲み込め、全てを!!」
「っぐ、しまった!?右足が!」
夜の闇よりも尚暗い超重力の破壊の雨が大地ごとダクオンを打ち砕いていく。
とっさに回避行動はとったものの、盟友の死に嘆き揺れる心では満足になり切れない。
一発や二発ならともかく数十に及ぶ攻撃をヨッミーは避け切れなかった。
(なんて無様っ!)
この地が禁止エリアになる可能性にも、二発限りのMAP兵器のあまりにも早すぎる消費にも、
遠距離攻撃で吹き飛ばす方が安全だということすら忘れ、
右足を抉り取られ、逃げることのできないダクオンに接敵。
空間を歪め取り出した大剣を振り下ろす。
己が手で直接惨たらしく他人と歩む者を殺すことで、一人ぼっちの自分こそが正しかったのだと、
自らに言い聞かせるように、ユーゼスは感情を高ぶらせ声をあげる。
「っく、マグマブラs「遅い!グラン、ワーム、ソーーードッ!!」
それは、嘲るようでいて、どこか羨望めいた声で。
けれどもユーゼス自身も気付いていない真の想いを乗せたその一撃は。
「対空のォォォォーーーシェルブリットォォォォォォォオオオオオオオオオ!!」
文字通り、その身を炎と化したストライカーに横合いから腕ごと殴られ逸らされることとなる。
「「っな!? 」」
驚愕の声が二つ上がる。
一つは止めを刺しそこなったユーゼス。
炎を身に纏っているとはいえ人間サイズの男の拳でグランゾンの腕を弾かれたのだ。
あまりの異常事態にに頭が冷えたのか、素早く距離を取る。
もう一つの声は救われた方のヨッミーだ。
本来なら喜ぶなり礼を言うなりするべきだが、ダクオンの肩に降り立ち火炎同化を解いた人物の顔に警戒を隠せない。
何故なら彼が知る限り名簿に載っている人物で、スクライドのカズマの顔を持つ人物は一人しかおらず、
その人物はヨッミーが書き手として綴っていた物語では殺し合いに乗っていたからだ。
とりあえず確認の為に恐る恐る名前を呼ぶ。
「エース、であるか?」
「おうよ!そういうてめえはヨッミーか?ああ、なんでアンタの名前を俺は知ってんだ?っけ、まあそんなのどうでもいいぜ」
左手に核鉄『ブレイズオブグローリー』を納めエースが笑う。
書き手ロワ2といい、炎に関する支給品に縁のあることこそが、彼をエース本人だと証明していた。
だが、それでもヨッミーには腑に落ちない。
「しかし、その腕はいったい?」
シェルブリット。
エースがその名を知らしめた書き手としての第一作で、死亡話を手掛けたキャラ、カズマの力。
書き手ロワでは結局一度もエース本人が使うことのなかった能力だ。
その問いにあっけらかんとエースが答える。
「あん?シェルブリットか?反逆者(トリズナー)なだけに対主催じゃねえと使えねえみてだ」
なるほどとヨッミーは納得する。
確かにカズマなりきろうものなら対主催でなければ無理だ。
となるとこれほど頼もしい男はいない。
「んで、グランゾンに乗ってんのは誰だ?
機体が機体だけに碌な奴が乗っていねえと思って殴っちまったが、それともヨッミーの方がマーダーか?」
どうやらとりあえず殺されそうな奴を助けようと考え無しに割り込んできたようだ。
実に漫画ロワ書き手らしいとヨッミーも笑みを浮かべ答える。
「ユーゼス・ゴッツォ、である」
「そりゃどう考えても危険人物だな。これで遠慮せずに殴れるぜ!」
前回完全にマーダーの道を歩んだエースだ。
対主催で行くと決めても、基本的にガチンコのどつき合い以外は苦手なのだ。
しかしそれもここまでだ。
せっかくの対主催だ。たまには組んで戦うのもいい。
何よりどう考えても割り込んだ俺が一番邪魔だしな、1対1じゃ。
「さあ行くぜ、ヨッミー!今夜は俺とお前でダブルトリズナーだ!!」
「おう!!」
かくして戦いは第二ラウンドへと突入する……。
【ダブルトリズナー】
【ヨッミー @クロススレ 搭乗機体:パワーダクオン
パイロット状況:良好(これが青春だ!)
機体状況:中破(右足使用不能、全身ダメージ)
装備:技術手袋10/20(パワーダクオンへ改造時に使用)
道具:支給品一式
第一行動方針:エースとともにユーゼスを倒す。
第二行動方針:首輪の解析
第三行動方針:どっかにジャンボ機や巨大な剣・銃はねえか?
第四行動方針:主催者に真の超展開を見せつける
第五行動方針:空気王とネームレスが心配。……た、ただ書き手2を完結させたいだけであるからなっ!
最終行動方針:書き手ロワ2を完結させる為にも脱出したい】
※書き手ロワ2書き手としてなりきり能力が使えます。
※属性:超展開によりかなりのそれっぽい無茶は押し通せます。
※パワーダクオンは、ライオソードや無限砲使用不可以外は、パワーダグオンと同じ性能です。
デモンペインカラーであり、本物に似ていますが黄ばんだパチモン臭い外見です
代わりに『我、埋葬にあたわず』に、アーム換装可能です
【エース@書き手ロワ2nd】
【状態】健康
【装備】ブレイズオブグローリー
【道具】支給品一式、不明支給品×1〜2
【思考】
1:ヨッミーとともにユーゼスを倒す。
2:お姉さまを保護する。
3:対主催として最強のストライカーを目指す。
※対主催になったことにより、シェルブリットが使えるようになりました。
【孤城の囚人】
【ユーゼス=ゴッツォ @二次スパ 搭乗機体:グランゾン
パイロット状況:苛立ち(一人であることを選んだのも私だ)
機体状況:ダメージ小 エネルギー消費中 グラビトロンカノン1/2
装備:
道具:支給品一式、不明支給品×1〜2
第一行動方針:パワーダクオンと男(エース)を倒す。
第二行動方針:首輪の解析
第三行動方針:グランゾンの力を脱出に利用できないかを考える
第四行動方針:手駒が欲しいが目立ちすぎたか?
最終行動方針:様々な超技術を奪い神への階段を昇る】
※二次スパの140話、『穴が空く』修正前版からの参戦です。
※一次スパのユーゼス分も混ざっているようです。
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