社会人vs高校生
高校生二人は木立に身を隠す。
「突撃あるのみか?」
「いや、作戦を立てよう」
いざ挽歌を襲うとなると、さすがの工房ブラザ−ズも慎重である。もしも、あの口調で煙に巻かれたら、それこそ
阿呆みたいなのである。思春期のプライドのために、失敗は許されないのだ。
「まず第一に、後ろから奇襲は最低条件だ」
「挽歌は格闘技にも詳しいからな。シャイニングウィザードの軌道を見切ってるかもしれねえ」
「だからこそ、後ろから奇襲だ。お前がなんの脈絡もなく、そのネタをかましたときみたいにな」
「……そうか」
ちょっと不満そうなにいむら。
「それで、第二条件はなんだ」
「それはもう満たしている。あいつは単独だ。助けはいない。いい状況だぁ」
「そういやマナー(゚д゚)は馴れ合いが嫌いだったもんな。そのわりに高校生軍団とか結成してるけどな」
「……なんだよ、俺と組むのが不満かよ」
ちょっと傷ついたマナー(・A・)。
「いや、そんなことねーよ。挽歌だってネタ合わせチャットには顔を出してたからな。必要なら、そうするもんだろ」
「ケッ、そのチャットで工房丸出し、流れを読めない発言しまくって周囲を呆れさせちまって、L.A.R.あたりをブチ切らせ
ちまった馬鹿がいたらしいよな。流れに合わないならつるむんじゃねぇよ」
「……それは彗夜だろ」
「さぁ? 俺は参加してないから、知らないけどよ」
互いに口を尖らせて張り合い始める二人であった。
その目の前を、挽歌は通り過ぎて行く。
(……なんだか、揉めてますね。ほっときますか)
隠れているのに、バレバレである。
「しまった! にいむら、文句はあとだ! 行くぞ!!」
「くそ、文句言ってるのはお前だろ!!」
慌てて茂みから飛び出す二人。
その、目の前に。
YELLOWが、いた。
「忙しそうなところすまないが、そこの少年たちよ。俺が大人の特選街を征服するために、力を貸してくれ」
「……は?」
「くそ、子供には早かったか……君達はBeppinくらいか?」
「……なんだよ、それ?」
「あれは廃刊だったか……」
遠い目で、YELLOWは寂しげに呟いた。
「お懐かしい。1995年のことですね」
挽歌が振り返って補足する。
(……なんのことだ?)
(知るか、そんなもん(つД`))
違う意味で、煙に巻かれる工房ブラザーズだった。
【02:名無したちの挽歌 エロ本にも詳しい?】
【21:YELLOW 工房を尋問中】
【31:にいむらたくみ なにそれ?】
【14:マナー(`Д´) オヤジはすっこんでろ】
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