無題






「さて、私はこれからどうしましょ?」
彼女は支給品であるサイレンサー付きの小型の拳銃を見詰めながらそう呟いた。
大人の女性を思わせるスレンダーな体つきをした彼女こそ、MIU(15番)だ。
コテハン紹介からも漏れた中では2番目の執筆量で、目立たない連合に入りかけた彼女。
しかし、女性化といつか(10番)の恋人という2つの武器で見事なり上がった書き手だ。
しかも彼女は「年上」というコテハンの中では希少価値の高い属性を持っている。
強気に引張ってくれる大人の女性、そのポジションがいつか、そして読み手の心を掴んだのだ。

彼女が結局思いついた選択肢は二つ
・千鶴や弥生のようにマーダーを突き進む
・いつかやその他有望株を捕まえて安全を確保し嫁ぎ遅れを防ぐ

どちらにしても誰かと接触しなければ始まらない。
有望株なら嫁げばいいし、無理ならマーダーとして最前線に立てばよい。
女性マーダーは殆ど予想されてないだろうから勝率はかなり高くなるはずだ。
思いついたが吉日、恋も殺しも先手必勝とばかりに彼女は行動を開始した。


5(20番)は他の参加者の倍はあるであろう巨大なカバンを背に森の中を疾走していた。

「今度こそ、今度こそ当たりを引いたぞ!」
コテハン紹介で漏れた書き手で4番目の執筆量、目立たない連合行き確定のさえないBOY。
当時中心に書いたキャラはフランク長瀬、前回コテロワでは自分の死亡話で赤文字に変えられてない。
まさに何処かの誰かが望んだような人物の一人である。
自分にキャラ付けをしなければすぐ消される事は予知し、ギャグキャラを目指した男。
結局中途半端に月代お面で暴れ1話限りの出番を終えた彼、しかし今回は違う。

「重火器ならマーダー路線で、最悪もずくでも予定のキャラ付けはOK!」
コレだけのでかさだ、完璧に当たりか完璧に外れの2択以外ありえない。
フォークとかの中途半端な支給品でキャラ付け失敗なんてことはまずありえない。
彼は期待を胸にカバンを開けた。 結果は……

『イーレッツ株式会社のギャグ製品詰め合わせ』
「駆動静か」「エアフォース・ファン」「Win−MX」etc.
人を舐めてるとしか思えないギャグ製品の数々、他のコテなら先ず絶望してただろう。
「北川だ、北川に俺はなれ……『パスッ』」
取り説を読みながら上げた歓喜の声は気の抜けた一発の音と共にかき消された。

「……北川はそんな反応しませんよ」
至極まともな意見を述べた彼女はそのまま他の人を捜し始めた。
もしかしたら今ので私のマーダー路線は確定してしまったのかも知れない。
もうちょっとまともな人を相手に自分の選択を決めたかった。

「私が千鶴役なら…… 。ちゃんが楓で赤目ちゃんが初音かな?コレで梓役が居たらな〜」
そんな独り言を呟きながら去っていくMIU。
彼女はまだ知らない梓並みにパッツンパッツンな彗夜という新たな女性化コテが表れた事を。
後には結局1話で消えた一人の男と放置された巨大なカバン。
それがキャラ付けできた者とできなかった者の差であった。

I think that she is attractive. However, I do not feel charm from him.

【15番:MIU マーダ―化?】
【20番:5死亡】
【残り37人】




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