学ラン眼鏡で猪名川萌え〜
「誰彼の海に で〜て〜 ふたりーは二度ともうめーぐーり会えないのー、っとくらぁ」
ある民家の二階。窓から海を眺めつつ体育座りをしながら囁くように唄を口ずさむ人間がいた。
ナナツさんだよもん(37番)。
学ラン着用おめがねティーチャーである。教師じゃないけどな。
更に片手には煙草。針を撃ち出せるわけでもない、ただのかっこつけの私物である。勿論吸えない。
「超ーやる気しねえ……」
拉致られてきたんだよ学校帰りに。もうなんかぐったりなんですこの段階で。北朝鮮かキサマら。サフィズムのソヨンに謝れ。
というか、ソヨンに負けず劣らず自分の身体は男子では小さい方だ。体力では勝ち目がない。武器は知恵と勇気!とか言ってる場合じゃあない。
ていうか死ぬ。死ぬから。すぐ死ぬ今死ぬ。
「あーもーなんでスタロワとか仮想戦記本とかやっちゃったかなー……」
頭を抱える。本気で後悔していた。絶対目ェつけられてるだろーな。
いっそ死ぬんなら麻枝さんにYETボスみたいに看取って欲しいんだが、馬場下川じゃ萎え萎えだ。特にしぇんむ〜。
こう見えてスタッフ関連にはそこそこ知識がある、と自負している。
……生きて帰りたいなあ。コミケ逝きたいなあ。あーあ。
地面に力無く手が落ちた。いや毒なんて食らってねえぞ。やる気ないだけです。
「?」
毒? ああそういやまだバッグの中身見てないよ。バカじゃん自分。
周囲にそこそこ注意を払いながら、震える指でバッグのジッパーを開けた。
食料。
地図。
マグライトかこれ。ワカンネ。
そして武器はナイフ。
暗くてよく見えないが何か文字が入っている。目を凝らす。
…… 「七つ夜」とあった。
「うっわ月姫かよ!寒!葉鍵ロワのくせに!」
つい叫んでしまった。すぐに後悔したが遅い。幸い人はいないっぽかった。多分。
「ってことは何? ひょっとしてこれ」
自分は伊達眼鏡である。そうだよかっこつけだよ悪いか、ドーセダメオタデスヨ。
それはともかくもしかしてこれってば直視の魔眼作成眼鏡? キャラロワでボツになったアレ?
ドキドキしながら取り出してみる。案の定眼鏡だ。よーっしゃ勝ったね、油断さえしなければイケるね!
「…………?」
みずほ先生。かけたのに何も起こりませんが。線も点もないですが。
あ。
ああそっかー。
こういうのってチャンネルが合ってないと何の意味もないよネ!空の境界も読んだから分かるよ!
情けなくなったので階下に降りてみることにした。気分を変えようそしたらメシでも食って、
――目があった。年がさして変わらないであろう参加者だった。
。(3番)とナナツさんだよもんの、これが奇妙なファーストコンタクトだった。
【ナナツさんだよもん 遠野志貴セット?(七つ夜と眼鏡)ゲット】
【。 と出会ったっぽい】
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