探索






「結構死んでますね」
「ああ、そうだな、シロー」
(だからシローはやめろっての)
 YELLOW(男・18番)と#4-6(男・33番)は夕暮れの並木道を2人で歩いていた。 
 何時に無く綺麗に見える茜色の光に目をやる。
 さてはて、自分達は明日も同じ夕陽を見る事ができるのやら―――
「YELLOWさん、見えてきましたよ」
「ん…ああ」
 目の前には、一つの木造プレハブ校舎。
 この狂ったゲームのスタート地点だった。
 コンクリート校舎で無いのは、恐らくキャラロワでの学校を別に作りたかったからか。
 脱出を目的にするにしろ、今の自分達には何の手がかりも無い。
 ならばまずはスタート地点に戻って主催を観察しよう、と言う事になったのだが―――

「誰も……居ないんでしょうかね」
「さぁ……」
 遠目から見る事、約30分。
 中からは人の気配が全くしない。
 そろそろ日も沈もうというのに、電気すら点かないとはどういう事か。

「……入ってみましょうか?」
「ああ」
 窓から死角になるように校舎に近づく。
 危険は当然あったが、何の手がかりも無いよりはマシだ。
 何時マーダーと出会って殺されるか解らないのだから。
 それなら、数少ない情報を得る事には危険を侵す価値があるように思えた。
 2人はドアに取り付き、中の気配を伺う。
 やはり気配は無い。
「それじゃ…行くぞ」
「ええ…」
 そして2人はゆっくりとドアを開けた―――



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