逆転序曲






 陽の当たらない教室。ここに、三十七名の男女が集められていた。
「おいお前ら、静かにしろ」
 ドアを開けて銀髪の男と二人の高校生らしき人物が入ってくる。
「お、お前……国崎往人に、折原浩平、藤田浩之!?」
 誰かがそんな声を上げる。国崎と呼ばれた男はそれに反応せず、ただこう告げた。
「これから、お前達に殺し合いをしてもらう」

「ふざけんな! これは一体何の真似だよ!」
 一人の男が机を叩き立ち上がる。残りの人間は一様に哀れみの目でそれを見つめていた。
 次の展開がどうなるのか、知らぬわけではあるまいに。
「うるさいぞ。お前NBCか。一行ロワイアルでは最後の一人まで生き残って死んだそうだが――」
 往人が何かを投げる。銀色のナイフ。それは正確にNBCの眉間を貫いた。
「ここでは最初の脱落者だ」

「お前らが何をやってくれたか知ってるな。葉鍵板で葉鍵ロワイアルを作った人間達だ。
 これは俺達を殺してくれたお前らへのプレゼントだと受け取ってくれて構わない。
 ルールは知っての通りだ。だが俺達はあの管理者達みたいなヘマはしない。
 最後の一人まで――殺し合え。以上、何か質問はあるか?」
 誰も何も言わない。ある者は無関心な目で、またある者は敵意を込めた目で、壇上の支配者を見つめるだけだった。
「よし。ゲームスタートだ」

【NBC 死亡】
【残り36人】




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