鬼の力
困った。
名簿順に出発ということで、私たちが合流する事は簡単に出来た。
今は民家に潜んでいるけど、まさかこんな状況になっていたとは。
完全にダウンしている千鶴姉さん。
ぐったりとしながら、時折ため息を吐くだけの梓姉さん。
身体的には特に問題無さそうだけど、精神的に参っている初音。
かくいう私も、体中の力が抜けてしまったみたいに動くのがだるい。
さっきの説明で、この首輪が「能力を封じ込める」と言っていた。
生まれながらにして、ずっと持っていた鬼の力。
私や初音は元々大した力を持っていたわけではないから影響は少ないのかもしれない。
梓姉さんは力を意識して押さえ込んで、身体的な運動力を鍛えていたから、鬼の力が抜けた時のギャップは小さいんだろう。
今は精神的に参っているだけなのかな。梓姉さんらしい。
でも、千鶴姉さんは・・・私たちの中で一番強力な鬼の力を、完全に支配下に置いていた。
普段は「かよわい女性(笑」を自負していた姉さんだ。無意識に力に依存するところが有ったのかもしれない。
そう、私の早食いのように・・・
落ち込んだ雰囲気の中で、時間だけが過ぎていく。
「体力回復」の為の休憩ではない以上、いつ動けるかも判らない。
体と頭が慣れてくるまでは見つからない事を祈るのみ。
・・・耕一さん、私たちは生き残れるかな。
・・・・・・私「たち」。
そのことは、今は考えない様にした。
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