開幕
――ふと、目が覚める。
完全な闇。完全な静寂。
そこがどこか知らない場所だということは、理解できた。
動かぬ体。明確すぎる意識。
「ようこそ諸君。喜びたまえ、汝らは選ばれた存在のだ」
突如声が聞こえたかと思うと、視界が明瞭となる。
その視界には、幕末藩士の風貌を思わせる作務衣を着た男と、きのこの姿をした化物めいた存在があった。
バトル・ロワイアル
「―――この 聖杯戦争 に!!」
――わからない。
あの男ときのこの怪物がなんなのか。
―――よく わからない。
バトル・ロワイアルとはなんなのか。
「もっとわかりやすく言おう―――汝らには最後の一人となるまで殺しあっていただこう」
――――ほんとうによくわからないけど。
これが夢ではなく、確かな現実であることだけはわかった。
無表情にバトル・ロワイアルなるもののルールを説明する、作務衣の男。
しかし、なんたのためにこんなことを彼らは行うと言うのか――
「妄言もそこまでにしてくれよな」
二人の男に向かい、ワカメを思わせる髪型の男が歩く。
「君たちのおふざけに付き合ってる暇はないんだ。死んでもらおう、行くんだライダー!」
ワカメ髪の男は勝利を確信したがごとく叫んだが、何も起きない。
「な――何をやっているんだ!ライダー!こんな奴ら――ガッ」
そう言いかけたところで言葉は途切れた
作務衣の男がワカメ髪男の首を掴み彼を持ち上げた。
「ところで汝らよ、この愚者の首にあるものが何かわかるかな?この場にいる者すべてに同じ物がつけられているのだが――」
そう言って、作務衣の男がワカメ髪の首を掴んだまま、見せつけるかのように回転しだす。
ワカメ髪の首には白金に輝く首輪が付けられていた。
「我々に逆らうことがいかに愚かか、しかとその目に焼きつけよ――」
ワカメ髪の体が上空に投げられたそのすぐ後、爆発が起こった。
地上には赤いトマトを潰したみたいなドロドロした何かと、首のない死体、そして恐怖に顔を歪めたままのワカメ髪の頭部が落下してきた。
「――そういうことだ。諦めよ。汝らには死ぬか殺すかの2択しかないのだから」
そう作務衣の男が言った後、視界が暗転する。
体は重力を失ったみたいに軽い。
気づいた時には、見知らぬ夜空が木々の間から見えた。
―――なんて、暗い夜。なんて、冷たい――夢。
――ああ、気付かなかった。
今夜はこんなにも――月が―――――きれい―――だ。
バトルロワイアル
【 TYPE-MOON 聖杯戦争 開幕 】
【奈須きのこ@TYPE-MOON 主催者】
【武内崇@TYPE-MOON 主催者】
【間桐慎二@Fate/stay night 死亡】
バトルロワイアル
【遠野志貴@月姫 聖杯戦争参加者】
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