手がかりを求めて
〜第1回放送開始 3時間前〜
平瀬村に到着した清麿と神楽は、まず周辺の民家を調査した。
民家には少し前に誰か居た形跡はあったものの、食料や人が住んでいた形跡はまったく無い。
当然かもしれないが電気、ガス、水道等も全く通じていない。
(おかしい。過去に人が住んでいたとしたらなんだかの生活感があるのが自然だ。
しかし、この民家にはそんな生活感がまったくない。まるで映画のセットだ。
この様子だと生きていくのに必要なものはほとんど置かれていないと考えるのが自然だろう。
そうなると食料は自分たちへの支給分だけか。もし、他の参加者がその事実に気づいたら、
食料の奪い合いが自然に発生する。まったくやってくれるぜ!)
「神楽。ここには何も無いようだ。少し戻ってあたりを調べてみよう」
(もしかしたら、他の参加者に会えるかもしれない。神楽のように攻撃してくるかもしれないが、
今は少しでも情報が欲しい)
「わかった。」
(清麿は色々と調べているようだけど、こんなことであたしを自由にできるのかね?)
2人は平瀬村近辺の調査を始めた。
〜第1回放送開始 1時間半前〜
平瀬村近辺を調べた結果、清麿は薬草(ドクダミ)を、神楽は男の死体を見つけた。
ただ、男の死体は妙なことに血を抜かれているようだ。
(この島には吸血鬼でもいるのか。まあ、妖怪がいるくらいだから居てもおかしくはないが...)
「神楽。すまないがこの死体を埋葬させてくれ」
(このままにしておく訳にはいかないし、最低でも人間として葬ってやりたい)
「そんなの放っておけばいいじゃないか。それかあたしの屍舞で護衛用の操り人形にするかい?
それとも食べてしまうかい?」
戦国時代に生きている神楽にしてみれば、死体など日常茶飯事。特に気にするものでもない。
自身もたくさんの人を殺してきたし、妖怪にとって人を食らう行為など人間が肉を食らうのと同じである。
この死体は血が残っていなくてまずそうだが。
「..いや、やっぱり埋葬しよう。それとばちあたりかもしれないが、服はもらっておこう」
そういうと清麿は死体から服をはぎ取った。服をはぎ取った後、死体を丁重に埋葬した。
(さすがに死体を食べるのは辛いが、この島では何が生死を分けるか分からん。
使えるものは最大限活用する!)
「あんた。もったいないことをするね。食べられるのにさ。」
神楽は清麿の行為にちょっとあきれた様子だった。やはり妖怪。人間とは感性が違う。
そんなことはお構いなしに清麿は神楽に頼み事をした。
「神楽すまないが、この服をその剣で俺の指示通りに切ってくれないか?」
「いいけどさ。この服で何をするんだい?」
(こいつ死体からはぎ取った服を何に使うつもりだ?)
「見てればわかるさ。」
清麿は神楽に自分の指示通りに服を切らせると、それを元に簡単な止血帯やひもを作ってしまった。
「気休めかもしれないが、こんなものでも大怪我をしたときには役に立つ。」
「それに、さっき集めていたドクダミも色々な薬として使える。」
そんな清麿の行動を見て、神楽は感心したように
「へえ、こんなものがね。」
とつぶやいた。
(こいつ色々と生き残るための知恵も持っていそうだな。今は信じて行動してみるか)
そんな矢先、突然あの放送が流れた。
〜第1回放送開始〜
女からの放送は一方的に始まり、そして終わった。
「9人死亡か。神楽。あんたの知り合いはこの中にいるか?」
清麿は神楽へ尋ねてみた。
「あたしが知っている奴はいないね。」
(まあ、あたしは誰が死のうが生きようが関係ないけどね)
神楽は清麿を励ますように話を続ける。
「良かったじゃないか。あと24時間は猶予が出来たんだし。」
(少しでも他人が死んでくれれば、あたしが自由になるチャンスが増える。
この調子であと一人か二人は死んでくれないかね)
しかし、清麿は神楽に強い調子で言った。
「良かったですまされるもんじゃない!すでに9人も犠牲になってしまったんだぞ。
とっととこのゲームを止めないと、もっと犠牲者が増えることになるんだぞ。」
今の彼は主宰者への怒りに凝り固まっているようだ。
「清麿、何言っているんだよ。このゲームは殺すか殺されるか。そういった目的じゃないか。」
(あたしはとりあえず生き残りたい。そのためにあんたと協力しているだけなんだから。)
「確かにこのゲームの目的はそうだろう。それでも俺はこの主宰者が許せないんだ!」
「清麿。そういえば、あんた主宰者の正体を探るって言っていたよね。何か収穫があったのかい?」
(初めてあったときに1日あれば、正体が分かると言っていた。本当に分かっているんだろうか?)
清麿は神楽の問いに
「いや、俺たちが調べて分かったことといえば、
『俺たちに殺し合いをさせること』、
『海からの脱出は不可能であること』、
『この島は殺し合いのための舞台装置にすぎないこと』、
『まともな食料は支給された分しかないこと』、
『主宰者は俺たちの殺し合いを楽しんでいること』
ぐらいだ。」
と答えた。それに対して、神楽はあきれたように
「そうなるとさっきの死体は食料で取っておけば良かったんじゃないか!」
(これだから人間は分からないよ。そんな大切なことに気づいていながら。)
と清麿に食ってかかった。
清麿はそんな神楽の様子に関係なく続けて話し始めた。
「しかし、主宰者の正体を考える上で分かったことがある。」
「それはなんだい?」
(何か分かったのか?生き残りたいためのはったりじゃないだろうね?)
「この主宰者は『人の心を弄ぶこと』や『他人の苦痛を見る』が好きらしいとだということだ。」
清麿は神楽にその理由を説明した。
「単に殺し合いをさせるだけなら、情報を与えずに参加者に勝手に殺し合いをさせればいいし、
最悪、頭の中にいるあの化け物に俺たちを操らせて、意志のない人形にしてしまえばいい。」
「しかし、主宰者は俺たちの心を操る訳でもなく、逃亡防止と監視用にあの化け物を頭の中に
入れているだけだ。つまり、主宰者は『俺たちの意志による殺し合い』を期待している訳だ。」
「参加者の中には殺し合いが好きな奴もいれば、そうではないおとなしい奴もいるはずだ。
殺し合いが好きな奴はまだしも、おとなしい奴でもどうしても他の参加者を殺す必要が
出てくるかもしれない。主宰者はそう言った『人の心の葛藤や苦痛』を楽しんでいるとしか思えない」
「そうでなければ、俺たちに対してあんなふざけた放送をすることも無いだろうし、頭の中に
あの化け物を入れて俺たちの行動を監視していることはしないだろう。」
(へえ、こいつさっきの放送と合わせて、ここまで主宰者の正体について考えていたのか?
意外とやるもんだね)
「神楽。あんたが話していた奈落もこんな奴だが、奈落がゲームの主宰者と言うことはないか?」
「それは無いね。奈落にはこんな大規模な舞台装置を作る力はないよ。それに奈落なら、
あんな化け物ではなく最猛勝に監視をさせる。」
(それに奈落の目的は四魂のかけらで、こんな殺し合いではないしね。)
「となるとあの化け物の正体が分かれば、主宰者の正体を突き止められる訳だな。」
清麿は神楽に改めて言った。
「神楽。この近辺は調べたから、別の場所へ移動しよう。あの化け物の正体を知っている誰かが
いるかもしれない。その人物から主宰者の正体へたどり着けると思う。」
「そうすれば、あんたや俺、他の参加者を自由にする方法が見つかるかもしれない。」
神楽は念を押すように言った。
「清麿。言っておくけど、明日の朝までに女の正体が分からなかったら、どうなるかは
分かっているんだろうね?」
(こいつを殺すのは惜しいけど、とりあえず脅しておくか)
清麿は分かっているように答えた。
「分かっている。あんたに殺されるんだろう?とりあえず、今は俺を信じてくれ。」
「分かっていればいいよ。それじゃ、行くよ」
清麿と神楽は移動を開始した。主宰者の正体を暴くために。
【F-3 平瀬村へ向かう道路/開始から6時間(第1回放送直後)】
【高峰清磨@金色のガッシュ!!】
[状態]全身に軽度の裂傷(血は止まっています)
[装備]魔導具「門構」+「無名」@烈火の炎
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)、薬草(ドクダミ)、止血帯、ひも
[思考]1.色々と調べる。
2.虫(婢妖)の正体を知っている人物を探す。
3.主催者の女について調べる。
4.神楽を自由にする。
【神楽@犬夜叉】
[状態]健康
[装備]風神剣@YAIBA
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.とりあえず、清麿は殺さない。
2.清麿を少しは信じ始めており、自由になるために賭けようとしている。
3.いつかは自由になる。
4.明日の朝までに女の正体が分からなかったら清麿が殺すつもり。
※薬草(ドクダミ)は解熱、解毒、傷薬として使用できます(薬に関する知識が必要)
※河内の服で作った止血帯やひもは大怪我にも対応できます。
※清麿には医療知識(原作2巻より)やサバイバル知識(原作9巻他より)があります。
※清麿と神楽は北方向へ向かいました。
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