セーラー服と(元)スプリガン






「では、お嬢さんの身内は犬夜叉という少年だけなんだね?そして危険な人間はこの殺生丸と神楽、知人はこの3人だけと。」
「そうです。まあ3人とも人間とはちょっと違いますけど・・・」
アイスクリーム屋に腰を下ろして名簿を見るのは、軍服姿の初老の男性とセーラー服の少女というミスマッチな二人。
元世界最強の工作員・スプリガンのボーマン少佐と現代と戦国の世を行き来する巫女・日暮かごめである。
某有名SFのアトラクションの入り口に身を潜めていたかごめを先ほどボーマンが保護し、見つかりにくい場所へ移動
したのである。
「妖怪に半妖、そして四魂の玉か・・・。どうやらお嬢さんと私は別々の世界から連れて来られたようだな。」
「でしょうね、私もアーカムなんて企業は聞いたこと無いですし・・・」
片や超古代文明の遺産を守護するスプリガン(元)、片や時を駆ける巫女少女、というわけで二人はこの異常な状況と
突拍子も無い推論をすんなりと受け入れていた。

ボーマンは思考する。あの主催者は自分たちの想像を絶する力の持ち主らしい。
あの忘却の島で確かに愛弟子によって止めを刺されたはずの己が、今ここに居るということが何よりの証明だ。
この殺戮の舞台から脱出するのは困難極まりないだろう。

「これからどうします?私としては直ぐにでも犬夜叉を探したいんですけど・・・」
「そうだね、私としてもなんとか優を見つけたい。今は敵となっているが・・・ 味方すれば頼もしい奴だからな。」
少し寂しそうな男の声。
少女は開きかけた口を閉ざし、男を静かに見やる。
強い子だな、と男は思う。
まだ年若いのにこのような悪夢のような出来事に巻き込まれ、それでも毅然としている。
それだけでなくこの異常な出来事の最中に見知らぬ他人を気遣うことすら出来る。



沈黙を破り、万感の思いを込めて男は言う。
「優は・・・ あいつは強い。こんな馬鹿げたゲームに乗ったりはしない、必ず一人でも多くの人を
護ろうとしているはずだ。君の相棒だって、このゲームに乗ったりはしてないだろう?」
そうなのだろう、この少女と供にある者なのだから。
「犬夜叉は・・・ 乱暴ですけど、優しいですから。誰かを無意味に殺したりはしません。」
少女は言う、絶対の信頼をもって。
「ならば、最初にやることは彼らを見つけることだ。そうだね、まずは・・・」
と地図を広げる
「ワールドバザールから探してみよう。ここは入場口が近いから、脱出を目指す人が集まる
だろうし、隠れ場所が多い分人も留まりやすいだろう。その分危険も増すが、優や殺人者を
止めようとする連中も同時に集まってくる。」
「じゃあ早速行きましょうか。」
立ち上がった少女は支給品を手に取る。
少女に支給されたのは魔道具・鋼金暗器。
複数型に組み替えることで、ショートレンジからロングレンジまで自在に対応可能な
優れた武器ではある。最も少女にはその大半が使いこなせないが。

「危険だから、私の傍を離れないように気を付けなさい。」
男に支給されたのは魔道具・磁双刀。
SとNの二対の刀。その磁力によって自在に引き寄せ・反発する特殊な刀である。
いささか長すぎるモノの、世界屈指のナイフ使いたる男には“あたり”であろう。

こうして二人は歩みだす。
その先に待ち受ける惨たらしい現実を知らぬまま。
【トゥモローランド・ソフトランディング店内/早朝】
【ボーマン教官@SPRIGGAN】
[状態]健康
[装備]磁双刀@烈火の炎
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.ワールドバザール捜索
   2.御神苗優との合流
   3.日暮かごめを護る

【日暮かごめ@犬夜叉】
[状態]健康・冷静
[装備]鋼金暗器@烈火の炎
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.ワールドバザール捜索
   2.犬夜叉と合流
   3.ゲームを止める



前話   目次   次話