状況進展中、捜索実行中
破壊しつくされたメリーゴーランドを目にし、鳴海は息を呑み、内海は目を細める。
「これは・・・」
「どうやら、このゲームの参加者には信じがたい火力の持ち主が居るようだね」
中央の城を目指し移動していた鳴海と内海だったが、先ほどテーマパークに響き渡った轟音と
衝撃を耳にし、急遽目的地を変更して衝撃の中心点へと向かったのだ。
「この痕跡からすると、何らかのビームかカ○ハメ波の様な攻撃のようだね、加藤君。」
「内海さん気をつけてください。これをやったヤツはまだ近くに居るはずです。」
よく観察しようと洋館風の小物店の陰からついつい身を乗り出す内海に、鳴海は忠告する。
二人がこの場に到着した次点で、先ほどの衝撃から10分と経っていない。
この破壊を為した相手が近くに潜んでいれば、最悪の場合建物ごと吹き飛ばされかねない。
「すまないね、つい興奮してしまったようだ。」
いささかバツの悪そうに苦笑する。
「いえ。ところで、これをやったのは最初の場所であの女にビームを撃った軍人ですかね?」
「ふむ、情報が不足しているから断言は出来んがそう考えるのが打倒だろうね。加藤君が見た
のは名簿に載るキース・シルバーという人物で間違いないのかね?」
「はい、左腕が巨大化した白人の男が左腕からレーザーみたいな光線を出していました。」
「いやいや、加藤君。それはレーザーではないよ。」
「なんで断言できるんすか?」
怪訝そうに首をひねる鳴海。厳つい大男のユーモラスな動きに笑みを深める内海。
「いわゆるレーザーとは位相を揃えた光だ。位相を揃えているので光はほとんど拡散しない。
光が拡散しないから僕らの眼に光は届かず、結果僕らにはレーザー光線は見えない。つまり、
特殊な条件下でないとレーザー光線というものは目に見えないのさ。」
「はぁ、そういうモンなんですか・・・」
さっぱり分かっていない様子の鳴海。
「じゃあ、あの男が撃ったのはなんだったんですかね?」
「恐らくは何らかの粒子ビームか、アニメ風に“気"でも放出したのか。生体がビームを撃つ
なんて無理があるから恐らくは後者だと思うね。」
「なるほど。」
言葉とは裏腹にあまり納得していない様子の鳴海。拳法使いの立場からしてみればアニメ風に
気を“打つ”のではなく“撃つ”という方が無理がある気がする。最もいちいち反論する気は
ないが。
「それで、これからどう動くかね?」
「そうですね、先にここで戦ったヤツを探しましょう。」
「ふむ、上手くいけば僕たちの様に偵察に来た参加者とも接触できるかもしれないね。」
考察を打ち切り、行動方針を修正。
二人は壊されたメリーゴーランドの周辺へと慎重に歩みだした。
【B5/ファントムファンタジー・ファンタジーギフト店内/ゲーム開始から1時間強経過】
【内海@機動警察パトレイバー】
[状態]健康
[装備]小型キルリアン振動機“チェシャキャット”@うしおととら
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.周囲の捜索
2.他の参加者と接触
3.ゲームクリア
【加藤鳴海@からくりサーカス】
[状態]健康、義肢の動作も順調
[装備]超振動ナイフ@ARMS
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.周辺の捜索
2.戦えない参加者の保護(子供優先)
3.ゲームに乗った参加者を倒す
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