静かなる狼と太陽の少年






「槍よ!獣の槍よ来い!!」

ここはこの遊園地の最北東にあるロジャーラ○ットのカートゥーンスピン
相棒と離され、呼べばすぐ来てくれるはずの槍の名を必死に叫ぶ少年がいた

「やっぱり来ねぇ・・・
 いつかの様に妖怪の布で封印されちまったんだろーか・・・?」

キリオ達に槍を奪われた時の事を思い出す、たが破壊されたとわ思えない
槍と一緒に戦ってきたせいか槍がどこかで呼んでいる気がする
だがその声はあまりにも儚くてどこにあるのかは特定できなかった

「気がすんだかい?今の状況、あまり目立つような行動はよしたほうがいい」
「う、うわぁ!」
突然背後からかけられた声に驚く少年、振り向くとすぐそこにスーツ姿で帽子を被った中年の男性がいた
「誰だ!?あんたは!まさかさっそくオレを殺しに来たんじゃねぇだろーな!?」
かばんの中に入っていた武器?の細長い棒のようなもの構えて問いかける少年
「ふふふ、そんなつもりはないよ、始めまして、君が蒼月潮君だね?私は高槻巌、通りすがりのサラリーマンさ」
「そ・・・そうだけど、なんでオレの名前を?」
「かばんに入っていたリストに名前と写真が入っていただろう?」
「え?ああ、そうかどーもこういうの見るだけで頭がクラクラするんだよなー」
リストを取り出して確認する確かにその名前が載っていた、
そしてそのすぐ下に彼の息子だろうか?同じ苗字少年が載っている
「いかんな、さっきも武器の説明書をろくに読まずに捨ててただろう?
 さっき拾っておいたよ、それは神通棍、霊力を攻撃力に変える武器のようだが使えるかい?」
「霊力?うーん光覇明宗の杜綱さん達に教えてもらったあの方法をやればいいいのかなー?」
「光覇明宗?」
巌がなにやら考えてる間、潮は神通棍に意識を集中させる
(心を細くする|−−それが全ての戦いの基本。)
神通棍に強い光のようなものがともる

「やったー!出来たよ、おじさん!」
「ふふふ見事なものだ、ところで君に話しかけたのは
 あの白面という化け物のことについてよく知ってるようだったからだが・・・
 どうやら他にも聞かなければならないようだ、
 あの白面という者と君について話を聞かせてもらえないかい?」

潮の話を聞き終わりなにやら考えこむ巌

「・・・最後の質問だ、君は藍空市武装テロ事件を知っているかい?」
「うーん、そんな町知らないし何年前の事件だい?そんなの聞いた事無いけど・・・」
「そうか・・・やはり我々はそれぞれ違う世界から来た人間のようだ」
突然出て来た思いがけない結論に潮は混乱するしかなかった
「で・・・でも高槻さんも日本人だろ?そんなことあるわけないじゃないか?」
「いや、私の世界では光覇明宗なんてものは存在しないし、テロ事件は未だに報道され続けているからね」
「うーん、なんだかわからないやオレそういう話苦手で・・・」
「白面には元々そのような力はあったのかい?」
「いや、そんなのあるわけなねぇし、だいたいかぁちゃんがまだ結界で貼り付けてるはずだ」

そう、まだ白面は結界で封じ込められてるはずだ、
だがあの白面の化身から発せられる威圧感は一度戦った時と同じ、いや、あの時以上だった
あんな相手と自分は槍の力やとらもいないのに戦わなければならないのか?
考えれば考えるほど不安が募る

「なぁ、オレにとって奴を倒す事が使命だ、
 でもそうでなくても奴は強えーのにさらにとんでもない力をつけているかもしれねぇ
 それに、あのねぇちゃんのようにオレをいつでも殺せるのにこうして生かしている、
 それだけ奴には自信があるってことだ
 そして今のオレには獣の槍もとらもいねぇ、こんな状態で奴に勝てるんだろーか?」

「私の知人がよく言っていたよ
『人の足を止めるのは"絶望"ではなく"諦観(あきらめ)"人の足を進めるのは"希望"ではなく"意志"』と
 自分が成すべきことを目標に歩み続けなさい
 その意思はあきらめない限りどんな絶望の中でも小さくても一歩づつ先に進めてくれるはずだ」
 それに大きな力を持ったときその力に頼り、本来の実力を出せなかったり、
 心に隙を作ってしまうものだ、宿敵である君達殺さなかったし槍も壊さなかった、その事からもそれが出ている、
 つけいるスキなんていくらでもあるさ」

「あんがとよ、元気がでてきたよ、で、おじさんはこれからどうすんのさ?
 一緒に来てくれれば嬉しいんだけど・・・」
「いや、私は人を捜さねばならないんでねここで別れることにするよ」
「それってこの息子さん?」

リストに載っている同じ苗字の人物を指して聞く潮

「いや、涼には私の全てを叩き込んである、心配は要らないさ
 問題はこの男、ジェームズ・ホワン、自らの手で同胞の命に手をかけ
 生まれ育った町の情報を敵対組織に売り全滅に追いやった男・・・
 恐らくこの宴にも積極的に参加する事だろう、奴を速く倒さねば・・・
 君も十分に注意しなさい」
「でわな、君のその真っすぐな瞳のせいかな私もずいぶん話し込んでしまった」
「うん、いろいろあんがと、おじさんも元気で、また合おー」
「ああ、縁があったらまた合おう」
歩いていく巌にいつまでも手を振る潮に巌は振り向かず片手を挙げ応え去っていくのだった

「行っちゃった・・・
 さーて、とりあえずとらの奴と獣の槍を探すとすっかな」

蒼月潮はその一歩を踏み出すのだった・・・


【ロジャーラ○ットのカートゥーンスピン早朝】
【蒼月潮@うしおととら】
[状態]:健康
[装備]:神通棍@GS美神
[道具]:荷物一式(食料&水:2日分)
[思考]:1.とらと獣の槍の捜索
    2.ゲームには乗らない 、打倒白面
    3.困ってる人を見ると黙っておけない、やられたらやりかえす


【高槻巌@ARMS】
[状態]:健康
[装備]:オリハルコンナイフ
[道具]:荷物一式(食料&水:2日分)
[思考]:1.ホワン追跡
    2.ゲームには乗らないがゲームに乗って襲ってきたものは容赦なく殺す
    3.ゲームの真相の追究



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