第二放送






「やあ、生きている君たちにお知らせの時間だよ」

 地を這うモグラのように重い声がスピーカーから流れた。
 開始から半日が経った会場に立ち込めている血の匂いを嫌にも想起させる声だった。
 なぜならば彼、ジグザグの子供、景観モグラこそがこの殺し合いの主催者だからだ。

「そろそろ殺し合いの勝者を決めようと言う者も出始めるころだろうと思ってね。
 会場の中央にある五重塔に、とあるハイファイラベルを置いておいたんだ。
 「AS-PNDRGN」……決殺のエクスカリバーのハイファイラベル……上手く使ってもっと地獄を見せてくれ。
 ああ、こちらは今ソーシャルゲームに夢中だから、反抗だとか変なことは考えないように」

 景観モグラの操るスマホの画面の中では青い鎧の美女が聖剣を振るい、敵全体にダメージを与えていた。

「じゃあ死者の発表をしようか。
 ええっと……

 ドグ
 アイ=ロボロフスキー
 焼野原塵
 銀 
 丑鎮鉄平
 スー
 斗賀歩武
 観寺……

 ――ああ、あのオジサン、死んだんだね……っと、これはオフレコだったかな。
 とにかく今の8人が、この第二放送で死んだ参加者だ。次は禁止エリアを――」

 やる気なさげなモグラによる放送は続いた。
 禁止エリアには6エリアが指定され、残るは中央の五重塔@ヨアケモノとその周りの8エリアのみとなった。
 淡々と流れる放送は残った参加者たちの心に何を与えたのか……。



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