第4話 願いの貴公子
ラッキーマンは猛烈な勢いで駆け出していた。
空を飛ぶ事もできたが、この世界に来てから歩いても全く疲れないどころか歩けば歩くほど心がウキウキしてくるのだ。
「これは・・・?」
目の前にあったのは明らかに場違いなあやしげな魔法陣のようなもの。そして近くには呪文のようなものが書かれた紙が置いてあった。
何かが書かれた紙にはどんな作品世界の住人でも読めるように、ご丁寧にもそれぞれの作品世界の言葉で読み仮名がふってある。
「なになに・・・ムニャムニャ・・$)>@☆§∞・・?」
ラッキーマンは自分の世界の言葉で書かれた文章の部分を声に出しててきとうに読み上げてみた。
カーッ☆! と一瞬魔法陣のようなものが光り輝き、次の瞬間には天馬に乗った人間以上の容姿の美形が目の前に出現していた。
「私は願いの貴公子セエレと申します…。あなたが私を呼び出してくださったご主人様ですね」
「わたくし呼び出されたからにはご主人様の願い事を叶えなくてはなりません」
「さあ、どんな願いでもいくつでも叶えてさしあげましょう! なにが欲しいかなんでも言ってみてください。」
ラッキーマン「私の願いを何でも叶えてくれるだって・・・!? それはすばらしい!! 最高のラッキーだね!」
「まずは富だ!財力だ!ありとあらゆる財宝と金品の全てを私の物にしてくれ!!」
ラッキーマンはためらい無く願いを口にした。
その瞬間にはもうラッキーマンはどこまでもありとあらゆる財宝のみで上も下も右も左もぎっしり埋め尽くされた空間にいた。
しかもそのすべてがラッキーマンの心の望み通りの品物であった。
「ははは・・・こりゃすごい!さっきまでいた場所も宝の山みたいな所だったがそれ以上じゃないか!」
「こんどはこの私が永久に戦ったり苦労したりすることも無く最高に楽に暮らし続けられるようにしてくれ!」
セエレ「かなえました」
その瞬間にはラッキーマンにとっての全ての戦いや苦労の原因がラッキーマンの原作世界を含めた一切の世界から完全に無くなり、
ラッキーマン自身の運命も戦いや苦労に一切巻き込まれないものに書きかえられた
キャラクターだけでなく作者や読者や編集者なども含めて余計なものに誰からも何からも絶対に干渉されなくなったのだ。
「やったぞ! これで私は正義からも戦いからも解放され自由になったんだー! ありがとうー!」
「よし!次は力だ!腕力だ!私をどんなキャラクターよりも強く、全作品全ジャンルの最強キャラのトップよりも強い体にしてくれ!」
「わーっはっは!力がみなぎる!!次は不老不死だ!私に永遠の命と永遠の若さをくれ!」
「次は能力だ!私にあらゆるものを超える完全な全知全能の能力をくれ!」
「次は食だ!ありとあらゆる美味なごちそうを永遠に食べ放題にしてくれ!」
「次は女だ!ありとあらゆる美女を私のものにしてくれ!」
「次は権力だ!私に統治したり職務をこなす必要も一切無く、私の命令に絶対従う者しか存在しておらず、
どんな事でも全部私の思いのままになる私のためだけの宇宙を無量大数個くれ!」
「次は私が永久に最高の快感に満たされ続けるようにしてくれ!」
「・・・!」「・・・!」「・・・!」「・・・」
・・・
一見ラッキーマンのワンマンゲームのように見えた。
しかしラッキーマンはひとつミスをしていた。
あまりにも自分の利益を優先しすぎるあまり、このゲームのことを、ハッピーロワイヤルのことを完全に忘れてしまっていたのであった。
一度として「このゲームに勝ちたい」とか「ハッピーロワイヤルに優勝したい」などとは夢にも願わなかったのだ。
ラッキーマン「ハーーーッハッハッハッハ・・・・はーーっはっはっはっは・・・・・はーーーっはっはっは・・・・・」
次の瞬間ラッキーマンについていた不可触の「羽」が白く光り輝き始めた。
「まずは一人…」
同時に願いの貴公子セエレの頭上に光のリングが1つ出現した。
ラッキーマンは自分自身の願いの結果として完全な幸福の絶頂におり
もはやもとの世界のことはどうでもよくなり何もわからなくなってしまったようであった。
もはやラッキーマンは願う必要も無くなり願うことすらしなくなっていた。
そしていつのまにかセエレはラッキーマンに創ってあげたラッキーマンの願いの世界から姿を消し至福の島に戻ってきていた。
「さて、次の『ごしゅじんさま』をお探ししましょうか…」
その次の瞬間セエレは瞬く間にその場から風のように消え去ってどこか別のエリアへと移動した…
【名前】セエレ
【通称】願いの貴公子
【階級】王族
【容姿】金髪・ストレートの長髪・人間以上の美形・飛行可能な天馬に乗って移動する
【特殊能力】何でもできる天才で、不可能なことは何一つ存在せず、しかもそれをまばたきする間に全て行う。
セエレ自身のまばたき自体にも魔力があり、まばたきするだけでさまざまな能力を授ける。
望めば概念的なものも含めてどんなものでも手に入れて持って来ることができる。
「幸運」すらも運び込むことができ、特に何も命令しなくてもセエレがただ近くにいるだけで運が向いてくるようになる。
なお幸運にするだけならばセエレのご主人様や召喚者である必要はなく、近くにいただけの一般人でも敵でも幸運になってしまう。
どんな所にでも一瞬で移動できる超移動力も持ち、MAP上のどこにでも一瞬で飛ぶことができるどころか
MAP外の領域やそれぞれの作品の異世界のどこにでも一瞬で飛ぶことができ、誰かを連れて行くことも可能。
【補足】召喚者の願いはどんなメチャクチャなものでも即座にすべて叶える。どんなものでも絶対に叶える。
誰に対しても公平で善良な性格であり、召喚者の願いを喜んで実行する。
誤解の無いように言うとラッキーマンの願いの結果についてはセエレが意図的に仕組んだものではない。
【位置】A-1 金砂 → ?
【状態】正常
【スタンス】ハッピートリガー
【羽の状態】無色透明
【リング数】1
【名前】元祖ラッキーマン
【位置】MAP外。願いの貴公子によって新創造された、通常時空ともこの世界のメインマップとも切り離された異空間的な場所
【状態】幸福の絶頂
【スタンス】実質脱落
【羽の状態】白く光り輝いている
【リング数】0
第4話
Q.セエレやツイテルらの能力がチートすぎると思いませんか?
A.セエレが強いのは通常の召喚で呼び出すことができる分身体やエネルギー体や思念体などではなく正真正銘の本体だから。
原典にも実際に同じようなことが書かれていて、なぜか不当に弱い設定にされている二次創作資料を一切採用せず
可能な限り制限無しで拡大解釈された結果。だから異常に強いのです。
ツイテルたちは基本的に原典の通りそのまま採用。
・この話の中でセエレが出てきたり吸い込まれたりする魔法陣シートや呪文が書かれた紙もセエレの本体の一部が化身したもの。
つまりここで使われている魔法陣シートや呪文が書かれた紙自体がセエレの本体そのものでもある。
Q.セエレが創りだした願いの世界の中でもラッキーマンはラッキーでいられるの?幸運の星の光は届いているの?
A.原作で天才マンの雨雲発生機によって幸運の星が隠されたとき、ヒーロー協会会長が直接ラッキーマンにヒーローパワーを注ぐことで
幸運の星が隠されている間にもかかわらずラッキーマンを大吉以上の運勢にしたことがありました。
それと同じでセエレが近くにいる間はセエレが持つ幸運付与能力がラッキーマンにはたらいているためラッキーマンはラッキーのままです。
セエレがいなくなった後はもはやセエレがいてもいなくても関係ないほどラッキーマンがメチャクチャな願いを叶え続けて自己改竄した後
なので幸運の星がなくてもセエレがいなくても関係無くそれ以上にラッキーマンはラッキーでいられ続けるのです。永遠に。
Q.ラッキーマンは帰って来るの?これでラッキーマン終了のお知らせ?
A.ラッキーマンがいる願いの世界はラッキーマン自身の切実な心から出た真なる願いを限りなく本人の理想に応える形で具現したもの。
原作において大宇宙神になったときとは比べ物にならないレベルの快楽と幸福感に満たされており、
その上「こんどはこの私が永久に戦ったり苦労したりすることも無く最高に楽に暮らし続けられるようにしてくれ!」の願いの部分で
『ラッキーマン自身の運命も戦いや苦労に一切巻き込まれないものに書きかえられ』
『キャラクターだけでなく作者や読者や編集者なども含めて余計なものに誰からも何からも絶対に干渉されなく』なっていて、
「これで私は正義からも戦いからも解放され自由になったんだー!」の部分で自ら正義の心も戦う意思も完全に捨て去ってしまいました。
しかも本編では省略されて書かれている願いの部分で
「ここで得た快楽と幸福感に絶対に飽きないようになりたい」「ご飯を食べる度に1億倍々にアップしておいしく感じるようになりたい」
「願いで得た力や地位を絶対に損失・退失しないようにしてくれ!」「私にとっての全ての成功が永続する成功になるようにして欲しい!」
「私の全快楽と幸福感を無限倍に強化しこれ以上の快楽と幸福感は無いと思った瞬間それを無限に超える快楽と幸福感を味わうようにして」
「完全なスーパープラス思考。私の頭の中身を100%ポジティブにしてくれ!」「私の住居を永住したくなる最高に豪華で快適な物にして」
などとお願いしていますから(冗談ではなく本当にお願いしてしかもその全てを叶えてもらっています)帰還するのはむずかしいです。
ラッキーマンのラッキーや自身の能力そのものがここにいたほうがラッキーなのでこの願いの世界から逃がさないようにしています。
しかもこの元祖ラッキーマンは地球人と合体していないため、地球に帰らなくてはいけない等のホームシックにかかる理由も全く無い。
・なお、ラッキーマンのいる願いの世界やカナエールちゃんやツイテルたちがいる場所はMAPの延長線上には無く
MAP側からは普通のキャラクターでは干渉できませんが、
本当はこの「至福の島」の一部であり、MAPの「裏側」とか「奥」にあるというような表現が正しい場所なのです。
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