無題






 それは、あまりにも突然だった。

「がふうっ」
 背中への打撃。
 不意を突いた重たい一撃に、華奢な身体はいとも簡単に数メートルほど吹き飛ばされた。
 一度、二度と地面に胴を叩きつけて、急襲を受けた古菲は敵の姿を視界に認める。
「ロボ…ッ!」
 敵の正体を認識した直後、視界が急激にぶれた。
 人間の動きを遥かに凌駕した動きで地面に伏せた古菲に肉薄し、強く腹部を蹴り上げた。
 古菲の身体は綺麗な放射線を描いて、機転をきかせた古菲の意思によって木の枝に着地を決める。
「よく分からんアルが…あいつは放っておいたらやばそうアルネ」
 此方へ向けて敵が手を伸ばしてきた瞬間、相手の後方へと跳躍する。
 相手が背後を向いていない今がチャンスとばかりに素早く気をまとい、無防備な目前の背中へと拳をぶち込む。
 敵は鈍い衝撃音と共に敵の身体が倒れた。
「やったカ?」
 油断は大敵。一応構えの体勢を保ったまま相手の動きを注視する。
 すると敵は古菲の攻撃など屁でも無いというかのようにその場で身体を一回転させて、即座に立ち上がった。
「しぶといやつアルナ」
 此方には既に長期戦を挑む余力は残っていない。
 相手にもらった不意打ちによって大幅に体力を消耗されているのだ。
 となると、次の一撃では再起不能とまではいかずとも、何とか逃げる隙を作る程度には攻撃を与えたいところ。
「ハッ!」
 古菲は地面を蹴ると、一旦木の枝に降り立ち、そしてまた高く跳ね上がった。
 目指すは相手の身体の頂点。
 敵は此方の俊敏な動きを目で追い続けるが、やがて古菲が彼(?)の頭部に着陸したため姿を追跡することができなくなった。
 無抵抗となった今は古菲にとっての最大のチャンス。
 古菲は渾身の力を右拳に総動員させて、それを相手の頭部に放った。
「爆裂寸勁!」
 大岩をも打ち砕く一撃に、相手の身体はいたる部分から軋みをあげながら大きく揺れる。
 さきほど一撃を与えたときよりも、今度は大分手ごたえを感じた。
「フフ、これでど――」
 しかし。
「ム!」
 再起不能にもならなければ、一瞬の隙すら見せてはくれなかった。
 相手が側転したことで足場が不安定になり、古菲はまた高く宙を舞った。
(動じていないアルカ!?今の攻撃に…!!?)
 着地の態勢に入りながら敵へと視線を送ると、相手の胸から赤い光が放たれた瞬間を目にする。
(え?)

 一秒後、古菲は思考する力を相手が放射した光線に奪われて――

    □

 デスフェイサーが放ったネオマキシマ砲は、少女の上半身を原型をとどめぬほどに破壊した。
 元から力を制御されているからか、少女によって受けた攻撃が備えられた威力を押しとどめたのかは分からないが、デスフェイサーによる周囲への影響はさほど目立っていない。

 亡骸となった少女など見向きもせず、デスフェイサーは歩き始める。
 次なる獲物を目指して、一歩ずつ、確実に。

【B-4/南/深夜】
 【電脳魔神デスフェイサー@ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 新たなる二つの光】
 [状態]:全身打撲
 [装備]:全身に取り付けられた重火器
 [道具]:デイパック、基本支給品
 [思考]:基本 サーチ・アンド・デストロイ

【古菲@魔法先生ネギま! 死亡確認】



前話   目次   次話