OP






暗い闇が支配する空間。
その暗い空間の中に十―――いや、それ以上。

この影が一体何を示しているのかは、この話の続きを見てもらうとしよう。

◇◆◇◆◇◆

変化が無かった空間に何の前触れも無く突如として光が差し込む。
その光に比例し、先程の影達が徐々に動き始め、それぞれが騒ぎ始める。
異論を唱える者、ただうろたえる者、そのまま何も言わない者。
まさにカオス―――多種多様とはこの事だろうか。


「はい!皆さん静かに!」

突如として聞こえてきた男の大声に空間は一度は静まるが、それでもまた、先程よりも騒がしく、また声も大きくなる。
全員が全員、声がした方を探す。

「…あそこだ!」

ふと、一人の男が指差す。
そこにあったのは、小さなスピーカー。
白を基本とした部屋に小さな一般的なスピーカーが、逆に見ろと言わんとばかりにその存在感を高める。

「…お、おい!今から俺達をどうするんだ!」

茶髪の薄目の少年が、スピーカーへと訴える。

『いえいえ、少しばかり皆さんには《ゲーム》をしてもらおうと思いまして』
「ゲーム…?」
『ええ。殺し合いという《ゲーム》を、ね』
「―――!」

殺し合いという単語に先程よりも更に、というか混乱に近い状態になって、人々は騒ぎだす。
そしてその中の一人―――先程の少年が異論を唱えた。

「お前…人の命をなんだと思ってんだ!お前は人間じゃねぇッ!」
「…丁度良かった。一人手違いで連れてこられた者が居たと聞いたが…君の様だな」
「何言ってんだおま――――」

パァン。
まるでトマトを潰したかの様な音が空間に響く。
そしてその音を発した少年の首から上は―――無かった物となっていた。

「き、きゃああああああ!!!」
「くっ…!」
「うわああああああああああ!!」

所々から上がる悲鳴、いや、まさに阿鼻叫喚…とここでは表現した方が分かりやすいだろう。

「皆さん…あぁなりたくなかったらおとなしく話を聞きましょうね?」

スピーカーから変わらないまま聞こえる冷徹な声。
その声が発せられると、また元の静粛に戻る。

「それでは、皆さんにルールの説明をします。
一度しか言わないので、良く聞いてくださいね」

少し息を吸う音が聞こえると、立て続けに声が聞こえてきた。

「…まず、皆さんの首についている首輪。
先程の原因はそれです。
その首輪の爆発等はこちらの自由…つまり、貴方達の命は私達が持っている事になります。
と、いっても安心して下さい。私達はよっぽどの事が無いとこちらからは首輪は爆発させませんから。
ちなみに首輪を無理に引っ張ったり、後々知らせますが、禁止エリアに入っても、爆発します」

その言葉に反応し、首を触っていた者達は、急に触るのを止める。
そのひんやりとしていたた感触が、逆に恐怖感を高める。

「そして皆さんには支給品を配ります」

支給品、という聞き慣れない言葉に首を傾ける群衆。

「支給品、とは最低限死なない程度の食糧や飲料水、地図等を入れています。
それと…六時間毎に放送を行います。
禁止エリアと死亡者を伝えるので、よく聞いておいてくださいね…あ、それと」

言い忘れていたかのように音声は喋り続ける。

「武器や殺し合いに役立つ物はエリア内の様々なところにあります。結局武器を手に入れられず死ぬなんてこともあるかもしれませんがね…それでは…皆さん、健闘を祈りますよ」

その言葉で、突如として影達が最初から何も無かったかの様に消える。
そして空間には跡形も無い静けさだけが残った。

【タケシ@ポケットモンスター 死亡確認】
※主催が誰なのか、喋っていた人物が主催なのかはまだ分かりません。



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