ラムザ・ベオルブ






めいめいが各自の独自なそして誠実な生活を求めることが人生の目的でなくて、
他の何物が人生の目的だろうか。私はただ、私自身として、生きたいだけだ。

                      ―――― 坂口安吾


これは彼らと違う座標軸の世界の作家の言葉だが、
どの世界にも共通している金言に思える。

岩山の麓に厳しい古城があった。
朽ちた城壁に蔓があちらこちらに巻きつき、この城が人に使われてない気配を漂わせている。
今にも風化しそうな棟もあって、修復しなければ崩れそうな城だ。
王座のある部屋にはかつての城主が権力を誇っていたと伺わせる装飾品がいくらか残っていが、
多くが錆びていたり埃をかぶっていたりで見る影もない。
床には苔や黴がへばりついて、空気も淀んでいる。


そこに彼はいた。青と黒の鎧を纏っている。
その鎧にできた傷や、ところどころできている綻びが戦闘を日常的に繰り返していることを
予想させた。事実、彼は彼の世界で傭兵だった。
戦争を食い扶持にしているのである。

ラムザ・ベオルブ。名家の末弟であるが、約束された未来を放棄し野を降りた。
ある物語では歴史の影に埋もれた人物とされている。
もちろん彼はその事を知らない。
ただ、権力に抗った行動をした結果、後々そうなっただけである。

連れ去られた妹追っていたが、気がつけばこの世界にいた。
こことは違う城でカオスと名乗る異形の者――モンスターだろうか?――
に首輪をはめられ、目の前で人が屠られ、言われるがまま外に出た。

当てもなく移動するのは危険だと思ったものの、情報収集も兼ね前に進むしかなく、
行き着いた先がこの古城だった。

「ボウガンか。弓矢の扱いはそんなに得意じゃないんだけど……」
古城を探索していると武器庫らしきところに使えそうなボウガンが残っていたので、
持ってきた。情況は把握できないのだが、武器を持たないと危険だとは理解できる。

『支給品』の中には使えそうな武器があったが、あまり信用できないので使っていない。
いずれ使わなければならない時が来るのかもしれないけれど。

しかし、自分はついに頭がおかしくなったのではないかと疑ってしまう。
ここ一年、超常的な、にわかには信じられないような光景ばかり眼にしてきて、
闘ってばかりいた。妹を追っていて墓場に行き着いて、そしてあの爆発が起こって…。
意識を取り戻すとこの島(?)にいた。一緒と行動を共にしていた仲間たちもいない。
妹も。

――それに。
あの場にはガフガリオンがいた。僕が手にかけたはずの。

全てが不条理に思える。が、それは彼にとって日常であった。要は、戦場と同じ。
「死ぬわけにはいかないってことか。」
どちらにしろ、妹を探し出すまで果てるわけにはいかない。

英雄であった彼の父親から、何度となく教えられたことであった。
どんな時でも冷静でいろ。そして迷ったときこそ、自分に従え。

【K-11/古城】
【ラムザ@FFT】
[状態]:正常
[装備]:ボウガン
[道具]:支給品一式
第一行動方針:情況把握
基本行動方針:生き残る



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