俺はもう飽き飽きだ!
―やれやれ。
こんな馬鹿らしいことがあるものか。―
そう思う。
セフィロスはソルジャー時代から豊富な知識を得ていたし、
魔晄と、自らの出生を知って狂ってしまってからは、
さらに現実離れしたような様々な不可思議を体験した。
それは彼の生まれた世界のみならず、異世界にすら足を伸ばす不可思議であった。
その経験から断言する。
― これは有り得ない事だ。 ―
おおよそ世界観を逸脱しすぎたキャラクターの集合、逸脱しすぎた現状、
ある種強引・・・いや、あまりに強引すぎる“それ”は明らかに、
『誰かによって作られたもの』ということを示していた。
―虚空を見上げる。
空はよどんだ闇色だった。
その枠内にいるセフィロスが、それがどうして作られたか、
誰がどんな目的で作ったのか、作った者は複数なのか単独なのか……他、
何も知るよしは無かったが、自分が“本来の自分”ではなく、
誰かの悪趣味によって“模して作られた偽物”であるということだけは理解できた。
―やれやれ。全く悪趣味な奴もいたものだ。
そう呆れる。と、ここまで考えてよぎる物が一つあった。
それについて考えるべきか、どうするべきか。
一瞬セフィロスは迷ったが、当面、思索を遮るような危険も異常も見当たらなかった。
―ならば…。
(クラウドは理解しているかな・・?)
ふっと心の中によぎったことはそれだった。
彼も自分と同様、さんざんFF7本編終了後も、
散々金看板としてスクエア―いや、今はスクエアエニックスか―には、駆りだされたからな……。
(ククッ)
馬鹿馬鹿しい現状と合わせてセフィロスは笑う。
その時々によって、お互いその姿も随分変わったものだ。
セフィロスはそれを内心辟易していたが、
クラウドのウンザリしたような態度をとりながらも、
満更でもない様子に微笑ましい物を感じていたのだ。
―彼がどういう態度をとるか、多少興味はあるな。
幾ばくかの時が流れていた。
周囲に変化は未だない。さぁ、どうしようか。
クラウドのことを思い出し、多少心境に変化があった。
だがしかし、ゲームを続けるか?―と考えると、そんな気はさらさら起きなかった。
ならば、いいだろう。
―主催者ではなく“本当の”このゲームを楽しみたいとうへんぼく共へ
「いい加減、こんな馬鹿馬鹿しい遊びは止したらどうだ?」
滑稽なお芝居のおもちゃにされるのは、心底飽き飽きしていたし、
まして、あまりに出来が悪い上に悪趣味な物なぞ嘲って余りあった。
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