取引






最初に感じたのは、爆音だった。それから、三沢三佐の叫び声。妙に現実感のないそれは、しかし確かに
起こって。ああ、死ぬんだな・・・ぼんやりとそんなことを思いながら、俺の意識は途切れた。それから
一度目の覚醒。目を開けると、そこは広間らしき所だった。俺は激痛が走る体をなんとか上体だけ起き
上がらせ、辺りを見渡す。ここは?確かヘリが墜落して・・・ならばここは?それに他の隊員は・・・
「目が覚めたようだな」
俺の思考を中断させるかのように声が響いた。声が響いた方向に目をやる。そこには、いかにも中世の
騎士が着そうな甲冑を身に着けた男がいた。
「あんたは?」
「このゲームの管理人、とでも名乗っておこうか」
ゲーム?こいつは何を言っている?そんな疑問に答えるかのように男は語った。自分達が今いる場所のことを。
そして、このゲームがどういうものなのかも。



「もとの世界に帰りたくはないか?」
男は不意にそう尋ねた。
「もちろん貴様だけではない。貴様の仲間も全員蘇生させ、帰してやる。」
「・・・俺に何をしろと?」
答えは大体想像できた。
「簡単なことだ。貴様がゲームの勝者となればよい。みたところ戦闘能力に長けているようだ。
造作もないことだろう?」
馬鹿げていた。あまりにも馬鹿げていた。しかし、もし男のいうことが本当だったら?
しかもここは異次元だ、人を殺しても罪には問われまい。もう答えは決まっていた。
「・・・了解した。」


男はその答えに満足げに頷いた。
「なれば貴様を仲間の元へと帰そう。もう目が覚めるころだからな。なに、もうじき白魔法の使い手が
貴様らの元にたどり着く。その傷も癒えるだろう。ああ、それと、一応ルールだからな。貴様らにも
首輪をつけさせてもらうぞ。」
そこで俺の意識は再び途絶えた。


「まだ目を覚まさないのか?」
三沢は苛立ちを隠しながらガーネットにそう尋ねた。
「もう目を覚ましてもいいころなんですが・・・」
ガーネットのその声に反応するかのように、沖田の目がゆっくりと開けられた。
「沖田さん・・・!よかった・・・。」
心から安堵しながら永井がそういう。その声につられるかのように他の二人も安堵の表情を浮かべる。
―彼らはまだ知らない。沖田がマーダーへと成り果てたことを。そして、首にあの怜悧な首輪をつけられることも。


【F−7/森/朝】
【三沢岳明@SIREN2】
[状態]:健康
[装備]:不明(ヘリに何個か装備あり)
[道具]:不明
[行動方針]:ガーネット及びゲームに乗っていない人の護衛
【永井頼人@SIREN2】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:不明
[行動方針]:三沢と同じ
【沖田宏@SIREN2】
[状態]:軽傷
[装備]:不明
[道具]:不明
[行動方針]:ゲームに乗る。
[備考]:近くにある墜落したヘリにいくつか装備品あり。首輪はもうすぐ装着される。
【ガーネット@FF9】
[状態]:MPを3/1程度消費。
[装備]:不明
[道具]:不明
[行動方針]:三沢たちについていき。仲間を探す。



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