無題
わたしのおねえちゃんのこと
2年1組 春風ぽっぷ
おねえちゃんのいる6年生のクラスが
こんどの「BRほう」の「たいしょうクラス」にえらばれました。
ぼうえいぐんのへいたいさんが、そのことをうちに知らせにきました。
そのとき、お父さんがうちにきたへいたいさんをなぐったので、
お父さんはへいたいさんにつれていかれて、まだ戻ってきません。
つぎの日にうちにきたおまわりさんがいいました。
お父さんは「こっかはんぎゃくざい」だから、
ずっとうちにかえれないそうです。
お母さんはないてばかりで、きょうの朝ごはんもわたしが作りました。
きょう学校へいくと、玉木さんがないていたので、
わたしはびっくりしました。
いつもげん気な玉木さんがないているのを見ると、
わたしまでなきそうになりましたが、ぐっとがまんしました。
ひなこ先生が朝のがっきゅうかいでいいました。
「BRほう」の「たいしょうクラス」にえらばれたことは、
とても「めいよ」なことだから、たとえおねえちゃんがしんだとしても、
よろこばないといけないといいました。
わたしも「BRほう」にえらばれたおねえちゃんの妹として、
はずかしくないようにしたいです。
* *
宿題の作文を書き続けるぽっぷの原稿用紙の上に、涙が落ちた。
ぬぐってもぬぐっても、涙はとめどめなく溢れてくるので、
書き上げたばかりの作文はくしゃくしゃになってしまった。
階下からは泣き続けるはるかの声が、絶え間なく聞こえてくる。
作文を最初から書き直しながら、ぽっぷは必死に願い続けた。
お姉ちゃん、早く帰ってきて。
お願いだから、何があっても、生きて帰ってきて。
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