序章
時は幕末――。
実に二百五十年の長きにわたる徳川幕府の支配が終わろうとしていた時代、世は混沌と混乱に満ちていた。
『佐幕』と『倒幕』。『開国』と『攘夷』。
相反する大きな思想の流れのなかで、日本はまさに真っ二つに割れんとしていた。
事態を重く見た岩倉具視は、このままでは内紛により国が瓦解し、諸外国につけ入る隙を与えることになりかねないと憂い、
この状況を打開すべくある驚くべき一計を案じた。
今、岩倉の手により、もう一つの維新が幕を開けようとしていた。
前話
目次
次話