ラストバトル(?)






(中略)


尾田は言った。
「荒木先生、あいつはいったいどういうやつなんです?」
「あの観覧台で2人を容赦無く打ち切りやがった」
荒木はフーッとタバコを吐いた。
「俺はやつとおなじタイプの人間を見たことがある。」
「ええっ、前の大会でですか?!」
「いや、同人コミケででだ・・・」
「同人コミケ?!」
「俺は業界に長くいるから分かるんだが、同人コミケでは良くそう言うやつを見かけるんだ。
 おそらく何のマンガ家良識も持ってないやつだ」
「良識?!」
「そう、商業誌で書くのは、あくまでコミケの宣伝。商業誌の〆切よりも、コミケの〆切。編集を泣かせても気にしない。
 商業誌に穴をあけても構わない。自分の地位は安泰と思い込んでるから、他のマンガ家などハナで笑ってるんだ」

「・・・恐ろしいですね。」
「ああ、恐ろしい、ああいうタイプの人間が一番恐ろしいんだ」

岸本の変身忍法「月に変わっておしおきよ」で冨樫は萌えを脳天にくらって倒れた。

「岸本先生、よくやった。後は任せろ」
荒木はそう言って、冨樫に近づいていった。

「今ならオマエをたおすのは楽勝だが、それは俺の心に後味のよくないものを残すぜ」
「冨樫、おまえのその脳天の萌え傷、治るのに何秒かかる?」
「5秒か、10秒か」
「オマエの傷が治るのと同時に、俺が本当のマンガ家の原稿ってやつを見せ付けてやる」
「コミックマスターJ風にいうなら、」
「描きな、どちらがマンガ家として優れているか、1ページ描いて勝負しようぜってやつだ」

冨樫(ハァハァ、フ・・フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ)

「やはり、貴様はマニア受け作家よ」
「マンガ家の良識だとかそういった瑣末なものを気にする」
「所詮、貴様には1年周期くらいでしか人気アンケートを把握デキンのだ」
「毎週読み捨てされる週間少年誌において、」
「ヤローのファンをいくら増やしたところで奴らがハガキなど出すものか」
「貴様のファンのように本誌を読まずにコミックスだけ買ったり、立ち読みするやつにおいては何をか言わんやだ」

「今のマンガ家にとっては、同人女こそ全て!!!」

「毎週アンケートはがきを出してくれる同人女こそ狙うべき客層!!」
「彼女らの人気を掴むためにはショタキャラや麗人キャラを出すことこそ肝要!!」
「それも原稿が書きやすく、たくさん出す為にも真っ白なキャラこそが相応しい!!」
「そうすることによってネタに困ったときでも、萌えキャラ2P丸ごとアップによって、楽に原稿料を稼げるのだ」

「それが出来ぬから貴様は、単なるマニア受け作家に過ぎんのだ」
「いつまでたっても印税暮らしの出来ぬ2流作家YOOOOーー!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

「モナー!!!」
荒木がスタープラチナを出して、物凄いスピードで原稿を描き始める。

「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ・・・」
「そこが貴様は甘ちゃんというのよ」
冨樫は、いきなりインク壜をつかんで墨汁を荒木の原稿の上にぶちまけた。

「これで貴様の原稿は台無しだ!」
「その間に俺はキルアの1発描きでOKよぉーー!!」

ピキィーーーン!

「な、何だ、この音は?」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・

「なにぃぃぃぃーー!」
「墨汁のあとが擬音にーーー!!!」
「オ、俺の原稿が書き文字に破かれていくぅぅぅーー!!!」

バキバキィィィーー!!

冨樫「ウワァァ−−−!!!」
荒木「オオオオオオオオーーー!!!」
「モオオオォォォオオーーーナ」
「モナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナ
 モナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナモナ」

「パクリ野郎は逝って良し!!!」

ドッゴゴオオオオォオオーーーーン!!!!!

「ハァ、ハァハァ、ハァハァ」

「貴様の負けた理由はたった一つの理由だ」

「たった一つのシンプルな理由だ」


「貴様は2チャンネラーを怒らせた」



【冨樫義博 打ち切り】



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