後藤からの電話
鳥嶋は、編集室のデスクに座り
乱雑に散らばった原稿をかき回していた。
「えーと、久保が打ち切られたのが午前八時四十二分と−
えー矢吹、こっちも四十二分と」
細い目をさらに細めた。「あー、ボツ。」
デスクの上の黒電話が鳴った。
「はい、鳥嶋です。はっ!後藤元編集長!
その節はお世話になりまして・・・
はいっ、それで、なんのご用でしょうか?」
鳥嶋はしばらく聞き入り、それから
ははあ、というように笑った。
「いやはや。後藤さん、荒木を買ったんですか?
いや、私は冨樫を買いましたよ。本命一点です。
いや、ええ、荒木もまあ、対抗馬だし、何と言っても
彼はJOJO5部で終了と見せかけて、6部まで
引っ張っていますからねぇ。滅多にないじゃないですか。
1部で消えてゆく漫画ばかりですからね。え?
もちろん荒木はまだ連載してますよ。え?状況を?
えーとですね、荒木は今、ほかの二人と行動をともにしています。
えーと、尾田と岸本。それがですね、三人で逃げ出すとか
言ってるんですよ。まぁ、ウソでしょうけどね。
ああ、ええ、ちょっと待ってくださいよ。資料、資料と。
荒木でしょ?あー、バオー来訪者で打ち切られてますね。
全2巻。魔少年BTはたったの1巻ですよ。
なんか、ドラゴンボール全盛期に強さのインフレについて
突っ込んでいますね。荒木は”DB打ち切られてせいせいしたぜ、
つまらないマンガだった(後半が)”と思ってたんじゃないですか?」
前話
目次
次話