親切な男
現時点で負傷している参加者たちの中でもひではとくに重傷であった。
何せ両手首が無くなってしまっているのだ。出血も酷い。
しかし普通なら死ぬレベルの傷なのに死なない。ひでに装着された9つの首輪(残り7つ)が彼の命を無理矢理に繋いでいるのだ。
「うー☆うー☆……」
普通に痛みは感じるので、ひでは現在進行形で苦痛を味わっていた。
しかしひたすら耐えていると、手首からの出血も止まり、僅かに痛みも引いてきた。それがひでにはとても嬉しかった。
「うー☆うー☆……痛いんだよぉ!!(涙目)もうヤダ!!こんなのやだ!!」
ボン!
右足首の首輪が爆発した。
このホモガキ学ばねぇ(呆れ)
「ああああああああああああああもうやだああああああああああああああ(デスボイス)」
ボン!
左足首が爆発した。慈悲はない。
ひでの支給品である9つの首輪は、ひでが弱音を吐いたり、
主催者にとってムカつく行動を取ったり、
ショタ設定を崩壊させるような言動を取ったり、たまたま主催者の機嫌が悪かったりした場合爆発する。
しかしそれを初見で解れというのも酷な話かも知れない(小並感)
「……」ヒューヒュー
不幸中の幸いにも、すでにひでは両手首両足の激痛に弱みをいう余力さえなかった。
因みにこのままだと次は両肘関節に両膝関節、最後に陰茎が爆破されてしまうのだが、ひとまずその危機は去ったようだ。
両手と両足を失い、無惨な姿で地面に横たわるひで。首輪により死ぬことはないといっても、限界だった。
痛みから逃れるために、ひでの意識はブラックアウトした(気絶)
――
それからどのくらい時間がたっただろうか?
「おや?まだ生きているんですかあなた」
ひでの意識はゆっくりと覚醒する。どうやら誰かが自分を起こしたらしい。
とたんに味わう激痛に、ひでは顔をしかめた。
こんなことならずっと寝かせて欲しかったと、多少恨むような視線を向けた。
上下逆の顔と、目があった。
「やぁ、こんばんは。その様子を見るにもしかしてお仲間ですか?
まあ、私も他人のことを言えた立場では… フフフッ…」
ひでを起こしたのは、まるでRPGに出てくる戦士のような格好をした男だった。
大の字に倒れているひでを、しゃがみこんで覗きこんでいる。
「おじさんだれ?」
若干叫びすぎて、ひでの声はひどく掠れていた。
知らない人と話すとお父さんに怒られるかもしれないと若干脳裏に過ったが、それどころではないのでスルーする
「私の名前はペイトといいいます
あちこちを巡って… そうですね… 宝探しをしているものです。あなたは?」
「ぼくひで」
ペイトと名乗った男は、ひでの惨状をしげしげと眺めていた。
「それにしても酷い傷ですね… そうだ、これを差し上げましょう… 傷を癒すことができるアイテムだそうですよ」
ディバックから、何やら怪しげな薬を取り出してひでに差し出す。
「お薬… 」
「手足が痛むのでしょう?この奇妙な建物… どこに篝火があるのかすらわからないのでは、いつ傷を直せるかわかりませんよ」
なんで篝火の話が出てくるのかはわからない。でも、「傷を直せる」という言葉はひでにとってとても素晴らしいものに思えていた。
「痛いの……治るの?」
「……」
無言で小瓶の蓋を開けるペイト。
「あぁ… その腕では自分で飲めませんね… 口を開けてください」
すべてにおいて怪しさ満点だったが、それに気を配れるほどひでに余裕はなかった。
気だるげに口を開けたひでに、薬を流し込むペイト。
―――
「お?」
「おおおお」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ひで は 復活 した!!
なんと吹き飛ばされた手足がニョキニョキと復活したのだ!
「ヤッターーー!ありがとうおじさん!」
クッソ汚いホモガキも感謝の念を禁じ得ない。
これほど知らない人に感謝したことはいまだかつてあっただろうか?
思わず涙ぐみながら振り向くと……
「死ねばよかったのに」ボソッ
「え?」
「ご無事で何よりです。では私はこれで… 運が良ければ、誰かが救いの手を差し伸べてくれるかもしれませんよ」
ペイトは興味を失ったように立ち去ろうとしていた。
気のせいかな?何かとても怖いことを呟いていた気が……
いやいや、ぼくを助けてくれた人なんだ。悪いおじさんなわけないじゃないか!
「ペイトおじさん、まっちくり〜」
【場所:イオンモール3F ライブキッチン(フードCOAT)】
【ひで@真夏の夜の淫夢シリーズ】
[状態] おじさんまっちくり〜(懇願)、両手両足首欠損(治癒ずみ)、
首部分の首輪が爆発しない限りどんなダメージを受けても死なない体質
[所持] 基本支給品一式
[思考]
0:ペイトおじさんについていく
[備考]
※参戦時期は下校中に虐待おじさんに膝蹴りを食らわされ、通行人が通り過ぎた直後。
※主催者は虐待おじさんとグルだと思っています。
※彼の支給品は、両手首、両足首、両肘関節、両膝関節、陰茎に装着された9つの首輪セットです。最初から装着されています。両手両足首の4つは爆発しました。なおひでは爆発する条件を理解していません
【親切なペイト@ソウルシリーズ】
[状態]健康、すこしがっかり
[所持]基本支給品一式、回復薬(カラ瓶)、ランダム支給品0〜2
[思考]
この奇妙な建物から脱出する
※ひでを自分と同じ不死人だと思っています
【支給品紹介:回復薬】
手足の欠損も一瞬で直せる奇跡のポーション。しかし説明書などは付属されていないので飲んでみるまでどんな効果があるのかはわからない
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