月と星が見守る夜の出来事






街灯も無い夜の道を一人の少女が駆けて行く。
既に日は沈み、光は月と星から降り注ぐものだけが頼りであった。
静まり返った殺戮の島では開始以来二度目となる夜を迎えていた。

高野晶は後ろから誰も追ってこない事を確かめるとようやく動かしていた足を止めた。
道脇に腰を下ろし、荒い息を吐きながら静かに呼吸を整える。
木の陰となるこの場所は月の光が遮られ、遠くから見ても闇の中に居る高野を見つけられないだろう。

しばらく深呼吸を繰り返していると乱れた気分が幾分落ち着いてくる。
それと共にここになって自分が犯した数々のミスが思い出されてきた。

何故こんな事になったのか
何故あの時一条と雪野を狙撃銃で撃たなかったのか

砺波を誤射してしまった事は技量的にはやむを得ない事だった。
だが、その後の混乱を生き残った二人は殺そうと思えば殺せたはず。
二人共普通の精神状態では無いのは傍目にも解った。
しかし指にかけた引き金を引く事はしなかった。
思えばあれが過ちの始まりだ。

では何故撃たなかった?

駒として使えるから?
違う、それは自分に対する言い訳だ。
ただ見たくなかっただけだ、立て続けの死を。

高野は二人を生かしてしまった本当の理由が解っていた。
目の前で四人が死に、直後さらに二人を殺す事は覚悟を決めたはずの自分にとっても躊躇われた。
放送で聞いた死者の多さも心に負担を掛けていたのだろう。
結果、招いた事態に思わずギリッと歯を噛み締める。

拳銃についてもそうだ。
見つかったからいって自分が大塚を殺した直接の証拠にはならない。
”用心の為に隠し持っていたが今さら言い出せなかった、烏丸が大塚を殺した時はリュックの中に入っていた”とでも弁解するべきだった。
いや、それも雪野の信を失ってなければの話だ。
自分を庇うだろう岡が生きているのならともかくとして、今では遅すぎた言い訳にしかならない。
もはや二人の信頼を取り戻すのは不可能だ。

逆転の望みを抱きながらインカムを耳に当て播磨の連絡を待つものの一向に声が聞こえる気配は無い。
その事が高野の焦りを強くする。

---あの馬鹿は一体何をやっている

舌打ちをするが考えてみても答えは出てこない。
ひょっとしたら烏丸と西本が対峙していた際に播磨の事にも触れたかもしれないが離れていた自分には知るすべがなかった。
わかっているのはパソコンで最後確認した時点でも光点はE-05から動かなかったという事だけ。
今も動いてない可能性すらありえる。
だとしたら既にどっぷりと暮れた夜の山中に播磨は残されている事になる。
今すぐインカムに通信が入ってうまく言いくるめたとしてもこちらへ来させるだけでかなりの時間を見なければならない。
下手すると遭難されてしまう。
かといって夜が明けるまで待つ事など出来るはずがない。
なら、と高野は別の可能性を考える。

---もし播磨君が既に山を降りているのだとすキれば?

その場合、何故インカムに連絡が入らないのか問題だ。
烏丸とのやりとりの過程でインカムが壊れた、ありえなくは無いだろう。
しかしそうだとしたらここで連絡を待っている事自体が無意味だ。
インカムは壊れておらず、播磨が行動を再開しているとの前提で連絡をしない理由、それを高野は考える。

---まさか疑われている?

烏丸と砺波は西本達に懸命な説得を繰り返していた。
播磨がそれを信じて連絡を躊躇っているのだとしたら説明が付く。
そして既に一条達と接触していたとしたら自分にとって事態はさらに悪化する。

そこまで考えると高野は播磨を利用するという計画の成功率を下方修正せざるをえなかった。
播磨を騙すつもりで居場所を教えたり、待ち合わせ場所を決めたりすれば三人がかりで襲われるかもしれない。
居場所を教えず一条達の居場所に向かわせたとしてもそのまま三人が手を組んでしまうかもしれない。

一度悪い方向に考えてしまうと思考はそこから抜け出せなくなってしまうという悪循環に高野は陥りかけていた。
その事に気付き、頭を振って思考を中断する。
このままでは駄目だ、とインカムを耳から外した。
悪い事を考えると悪い事が起こる、まさに今の自分はそれにピッタリ当てはまる。
とてもではないがこの状態では連絡が来たとしても播磨を操って事態を好転させる自信が無い。

---こんな時に天満や美琴が居てくれればカン塔^ンに暗い気持ちを吹き飛ばせるのに。

思わず普段その笑顔で心を癒してくれた親友の事を考えてしまった。
高野はそんな自分に気付いて自嘲気味に笑う。

---馬鹿ね、二人共もう居ないというのに。 <

あの笑顔はもう見る事はできない、そう思うと覚悟を決めたはずの心が寂しくなる。
つい目頭が熱くなり、高野は顔を上げて目を空に向けた。
頭上では枝が生い茂っていたが、僅かな隙間から星の瞬きが見える。
高野には輝く星が天満や美琴の笑顔と重なったよう思えた。

---今の私をあの二人はどう見てるのだろう?H

星を見上げたまま考える。
ダメだよ晶ちゃん、と怒っているかもしれないがもう引き返せない。
でも普段ならあの二人の事だ、私を元気付けようとあれこれ励ましてくれるのは間違いないだろう。
高野は考え過ぎなんだよ、など言われるかもしれない。
そんな事を考えると袋小路に陥りかけていた先程の自分が馬鹿馬鹿しく思えた。

そして高野はまた別の事を考える。
もし今の自分が天満や美琴だったらどうするのだろう、と。
何となく二人共単純に突っ走る姿が頭に浮かんだ。
あの二人なら相手を騙す事など考えず直接的な行動に出るに違いない。
改めて手の中にあるインカムに目を落とす。
誰かを騙して駒にするという方針はこの際捨てる事にする。
”嘘くさい笑顔”と看破された以上、それに拘る事はもはや得策ではない。
元々雪野達を生かしておいたのも弾の節約が目的だったはずである。
既に残り人数が一桁となった今となってはその必要も無くなった。


「天満、美琴、ここは貴方達を見習ってみるわ」

そう言って高野はゆっくり立ち上がった。
闇の中から月光の照らす路上に出てきた彼女はどこか吹っ切れた表情で一条達がいるであろう方向を見る。
被りつづけてきた仮面は脱ぎ捨てた。
殺人者としての自分を曝け出し、今度は躊躇い無くあの二人を討つ。
自分が天満、美琴ならばきっとそうするだろうと思ったから。

腕時計を確認する。
一条達はパソコンで自分の位置を把握している、不用意に近付けば警戒されるだろう。
だが更新には15分のタイムラグがある、そこに高野の付け目があった。
烏丸の接近を五人で警戒していた時に何度も時計を見ていたので更新のタイミングは把握している。
次の更新が行われた直後に行動開始、15分以内に二人に対する奇襲を仕掛ける。
距離からして時間ギリギリだが荷物の無い身軽な状態なら不可能ではない。
あまり二人から離れてなかったのが幸いした。
それにまさか二人共こんな短い時間で自分が舞い戻るとは思わないだろう。

---何だ、結構いけるじゃない

完全に自分に不利な状況では無い事に気付いて高野は気持ちが軽くなった。
準備体操を行いスタートの準備を整える。

---見ていて、天満、美琴

秒針がパソコンの情報が更新されただろう時刻を通過した瞬間に高野はダッシュした。
地面を蹴って道路を駆け、ショートカットも併用してリヤカーのあった地点をゴールに見立てて全力で走り続ける。
その速度は陸上部の城戸と比べても遜色が無いものだった。
体育祭の高野はここまで必死にならなかった。
当然だ、これは生きるか死ぬかなのだから。

頭上の星は変わらぬ瞬きを繰り返しながら走る少女の姿を見下ろしている。
ほんの一瞬、その瞬きが乱れたように見えたが正面だけを見詰めている少女にはそれに気付く事はなかった。


       ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


「……雪野さん、今はパソコンをチェックしましょう」

一条は崩れて咽び泣く雪野に腫れ物に触るような調子で声を掛けた。
抱きしめてもまた拒絶される、そんな予感がして一条はこれ以上雪野を慰める手段が見つけられなかった。
雪野は人を殺した自分を信用してない、それは仕方が無い。
そして雪野の問いに対しても答えることができなかった。
何故なら殺しても許されるのは自分だけなのだから。

もし脱出する事ができればそれがベストに違いない。
殺す事も殺される事も無く雪野はきれいなままで居る事ができる。
だから一条はパソコンの可能性に縋る事にした。

「ううっ、えぐっ、ぐすっ……」

しかし雪野は相変わらず泣き続けている。
見るに見かねてハンカチを差し出すと無言で雪野がそれを取る。
少しずつ鳴き声が収まってきたので一条はようやくパソコンの電源を入れた。

ビーーーーーーーーーッ

起動が完了した途端、パソコンからブザーが鳴り響きカウントダウンが始まった。
説明は伝えられていたものの一条と雪野にとって実際に見るのは初めてだ。
カウントダウンの数字がゼロを示した次の瞬間、パソコンの画面には姉ヶ崎の姿が大写しになって普段通りの笑顔を見せていた。

『はぁ〜い、これを見ているあなたはもう五回目の放送まで生き延びたわけね、先生とっても感激です!』

パチパチと拍手の音が聞こえてくる。
白衣の隙間からチラチラと見える扇情的なランジェリーをもし西本が見ていたら慌てて茂みに駆け込んだかもしれない。
同性の一条や雪野から見ても画面の中の姉ヶ崎はそれ程魅力的だった。

「何ですかこれ、もの凄くふざけているじゃないですか……」

殺伐としたゲームと比較してあまりにも場違いな格好に後ろから見ていた雪野が毒づく。
もしこれが男子への”ご褒美”だとしたらと思うと一条も胸が悪くなった。
続けて放送毎に新たな機能が追加されるという毎回繰り返される説明が流れ、いよいよ新機能の説明が行われる。


『さて画面の前のみんなっ、今まで最初の新機能のMAP表示は使い難かったわね、何しろ誰だか判らなかったのですから無理も無いです。
 でもこれからはもう安心、地図の印に名前が表示されるようになりました。これで会いたい人の居場所がバッチリです』

パソコンの新機能、それは位置情報への氏名表示だった。
成る程、便利な機能には違いないが残り人数が七人しか残っていない現状ではその意味があるのだろうか?
せめてもっと早い段階でその機能が使えたならば変わっていた事もあったろうと一条は思った。

『じゃあ、また6時間後に会いましょうね。ひょっとしたらそれまでゲームが終わっているかもしれないけれどね!ばいば〜い!』

画面の中で手を振っている姉ヶ崎に対して一条も無言で右手を振る。
雪野とはいえば冷ややかな視線で姉ヶ崎を見送った。
説明が終わると通常の画面が表示され、うって変わって沈黙が訪れた。

「……で、これからどうするんですか?」

姉ヶ崎の神経を逆撫でする服装と発言は雪野の気力をどこかで刺激したらしく泣き止んでいた。
その点だけは一条は先程の説明をありがたく思う。

「西本さんが言ってましたね、このパソコンで沢近さんの携帯に連絡できるって。まずはこちらの事をちゃんと伝えないと……」

そこで一条は言葉に詰まる。
連絡する事は沢近にとっては親友の高野が危険な存在だと伝えなければならない事に気付いてしまったのだ。
死体を見て怯えていた自分を彼女は抱いてくれた。
伝えればきっと沢近は傷つくだろう。

---でも仕方ないですよね?悪いのは高野さん、それに沢近さんも同じく人殺しなんですから

しかし彼女もまた人殺し、西本と一緒にハリーを殺した共犯者である事に変りはない。
そう思うと沢近がショックを受けるのも罰の一つだという気がした。

---なら伝えるのは早い方がいいですね
<
もはや先程の躊躇いは消えていた。
一条は早速メーラーを起動させて---新着メールの存在に気付く。
それは沢近からの連絡だった。

『西本君、こっちは今分校跡で城戸さんと会い、戦って殺したわ。首輪番号はSRBR-8P8GUJR-E、今からH-03に向かうからそちらの状況も併せて教えて』

簡潔にして明確。
沢近がまた人を殺した事実がそこに明記されていた。
何時の間にか雪野も一条の隣に来て画面を見詰めている。
そして先程自分に向けられた以上に汚いものを見る目をしている事に一条はすぐ気付いた。

「……誰もかれも人殺しなんですね、高野さんも沢近さんも最低です」

冷え切った声で吐き捨てる。
一瞬その目線が一条に対しても向けられたが一条はそれに気付かないふりをした。

---沢近さんは罰を受けるぺき人間でした。じカゃあ生きるべき人は誰か居ないのですか?

“SEARCH”アイコンをクリックして地図を表示する。
画面が切り替わると姉ヶ崎が言った通り、全ての印に氏名が付記されていた。

特にE-03には光点と黒点が密集しているのが目に付いた。
光点は南部に『一条かれん』『雪野美奈』の二つ。
そこからやや北部に『高野晶』の光点。

一条、雪野共ほぼ同時にその名前に視線が引き寄せられるがそればかりを見ている訳にもいかない。
視線を横へと動かすと隣のE-02に『嵯峨野 恵』の文字があった。

---やっぱり私が見たアレは嵯峨野だったんだセ

神社で見た死体を思い出して一条は思わず身震いする。
しかも後数時間後にはE-02は禁止エリアになってしまうのだ。
そうすれば首輪番号の確認も、埋葬する事も出来なくなる。
その事を考えながら一条は今度は南部へと視線を移動させた。

G-03に表示された黒点『今鳥恭介』、そして先程殺された『城戸円』の名前を見ると様々な感情が胸に溢れた。
南部に向かっているだろう光点『沢近愛理』を確認してまた別の感情が湧き上がる。

---今鳥さん、私は約束を守ってますよ?そしオて許せない人達に罰を与えるつもりです。どうか私を見守ってください

心の中で改めて誓う。
傍らの雪野に何と言われようが生き残ると。

沢近が向かったH-03にはE-03に劣らず黒点が密集していた。
その中に約束をして別れた花井と、生存者を示す光点として八雲の名があった。
彼女が生き残ってくれている事に一条は安堵した。
そして光点はもう一つ、『三原梢』と表示されたそれが八雲のそれとほぼ重なっている。
状況からいってこの二人が手を組んだ可能性は高いだろう。

「南の方で生き残っているのは塚本さんの妹と三原さんですか。周りで大勢死んでますけど一条さんはどう思います?」

雪野が何を言いたいのか一条はすぐ理解した。
生き残った二人はどちらか一人、あるいは二人共人を殺しているかもしれない。
だとすれぱ罰せられるべき人間がまた増える。

---それが八雲ちゃんだとしたら?

必ず生きて再会する、そう約束した少女の別れ際が思い出される。
同じく今鳥に命を救われた存在として彼女に生きて欲しいと願っていた、それは今でも変わらない。
だから八雲が人を殺したとしても免罪符があるので問題無い、そう一条は結論付けた。
何より八雲を罰すれば自分の免罪符をも否定する事になるのだ。

---うん、八雲ちゃんなら許そう。でも三原さウんだったら罰を与えよう

一条は沢近に送るメールの文面を考え始める。
人殺しを相手する事に嫌悪感があったが八雲と連絡を取るには沢近を介するしか無いのだ。
その為には知りたがっている情報ぐらいなら伝えても良いだろう、
西本達が死んだ事、播磨がE-05に居てようやく動き出した事、高野の嘘、H-03の状況等いろいろある。
首輪番号については試したが残念ながらこれも外れだった。
途中地図の更新が行われ、その度に二人は高野の動きに注視したが光点はその場を動かなかったので暫くは大丈夫だろうと安心する。

「じゃあ、沢近さんにメールを送りますね」

淡々と伝えるぺき事実の打ち込み終えると一条は考える。

---人殺しに対しては何か言った方が良いですキよね、やっぱり

だが下手をすると激情した沢近が何をするかわからない。
普段クラスで沢近の性格を間近に見ているだけに薮蛇になりかねない一言付け加えるべきか迷った。

ふと傍らの雪野を見ると彼女も何か言いたそうな顔をしていた。
すると雪野も横を見たために一条と目が合う。
途端、何ともいえない奇妙な空気が漂う。

「わかりますよぉ、一条さんが何て言いたいのか」

悪戯っぽい目で雪野が言い放った。
またしても彼女はあの汚物を見るような目を一条へと向けている。
思わず沈黙する一条に対し、雪野はもう一度あの笑顔を浮かべた。

「お願いなんですけど、よかったら私もメッセージを打ち込んでいいですか?」

一条はその申し出を承諾した。
誰も殺してない雪野の言葉こそ今の沢近に相応しいと思ったから。


       ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


高野は道の曲がり角から顔だけを出し、素早く状況を判断した。
十数メートル先の道路上で一条、雪野の二人が共にパソコンの画面に向かっている。
スタートから既に14分が経過、更新まで残り時間はあと僅かでとても周り込んではいられない。
最後の直線は身を晒して一気に駆ける以外の方法は無かった。
悪い事に二人と高野の間にはリヤカーがバリケードの様に置かれてあり邪魔になっていた。
それに銃器は全て一条達の手元だ、不用意に近付けば撃たれてしまうだろう。
必要なのはほんの数秒、その隙を作り出すものを高野はポケットから静かに取り出した。


「これで送信完了ですね」

沢近への返信が終わると一条と雪野は情報を得るために地図を表示させた。
画面を注視して更新を待つ間、一条はふと気になって周囲を見渡すが異常は無い。
気のせいでしょうか、と思ってパソコンに視線を戻した途端空から何かが降ってきた。

どさり、と音がして細長い袋が雪野の体の上に落ちる。
突然の事に雪野も一条も、え?と戸惑った次の瞬間ニョロリと蛇が袋を飛び出した。

「きゃあああーーーっっ!!」

何故蛇が降って来たのか、そんな事を疑問に思う間も無く蛇は雪野の制服の隙間へと潜り込み更に悲鳴を上げさせる。
立ち上がってパニック状態の雪野を何とかしようと一条が立ち上がったその時、背後から迫る足音を聴覚が捕らえる。
慌てて振り返ると既に目前といえる距離にまで逃げたはずの高野が接近していた。
反射的に手に持つ散弾銃を向けようとする、しかし一瞬早く白銀の刃が横薙ぎに一条へと襲い掛かった。

何が役に立つか分からない。
高野はそんな思いを強くする。
山中で拾った蛇は二人を十分な時間引き付けてくれたのだ。

雪野の悲鳴と共にダッシュした高野は稼いだ数秒の間に距離を詰め、薙刀を拾い上げて真っ先に一条を狙った。
しかし奇襲にも関わらず一条の反応は早い。
スパス15の銃口が素早く自分に向けられるのを高野は認めた。

このままでは相打ち、それに気付くと狙いを一条からスパス15の銃身へと変更する。
次の瞬間、鉄と鉄がぶつかり合い互いを削って火花が散る。
あらぬ方向を向かされた銃口からは無駄な弾が放たれて闇夜に消える。
一条が再び狙いを定めるその前に高野は素早く横の林へと飛び込んだ。
しかし構わず引き金を引く。
轟音と共に鉛の散弾が放たれた。
だが高野は樹木を盾にしてそれを防ぐ。
木片が飛び散り、隠し切れなかったスカートの布地が引き裂かれて宙を舞う。
しかし高野は傷を受けて無い。

---あと一発

誘うように枝をざわつかせながら林の奥へと後退し、冷静に残弾をカウントして隙を待つ。
一条もそれに応じ、雪野を残して奥へと走る。

---やっぱり高野さんは罰せられるべき人間だセったんですね

明確な殺意を持って襲われた以上、もはや一条に高野を殺める躊躇いは無かった。
むしろその方が雪野も納得してくれるだろうと歓迎する。
それにこちらは銃で高野は薙刀。
しかも林の中では長物は扱いづらい。
一条は自らが優位に立っているとこの時は思った。

高野晶は状況は自分に有利だと判断していた。

その根拠は闇への慣れ。
考え無しに林へと飛び込んだ一条は案の定立ち木や枝に衝突して戸惑っていた。
明るいパソコンの画面を見続けてきた一条と暗闇に目を鳴らした高野、
月の光が少ししか差し込まない林の中ではどちらが有利が言うまでも無かった。

一条は焦っていた。
威勢良く林に飛び込んだものの視界が利かず、高野が何処に居るのか見当が付かない。
突然闇の向こうにがさりという草を踏む音がして、すくざまその方向へと引き金を引く。
だがそれは高野の罠。
薙刀の長いリーチを生かし、木陰から離れた茂みを揺すったのだ。

最後の弾丸が無くなった途端に高野は木陰を飛び出した。
対する一条はまだ闇に慣れず反応がワンテンポ遅れた上、引き金を引いてやっと弾切れに気付いた。
既にその時は薙刀が斜めに振り下ろされる途中であり一条はとっさに横に跳んで切っ先をかわす。
すぐさま振り返して次の斬撃、一条は銃を高野へ投げ捨てて生まれた隙に木の密集地帯へと逃げ込んだ。

この場所なら自分が有利、そう一条は考える。
一見して薙刀の使いづらい地形、にも関わらず高野は躊躇無く誘いに乗って振り被る。

高野にしては不用意な行動、しかし一条は深く考えず狙い通りだと思っていた。
高野はそんな一条にすぐさま襲い掛かる。
横薙ぎに切っ先が迫ると一条は木の陰に飛び込んでそれをかわそうとする。
振り抜かれた薙刀は木にぶつかるだけで一条に届く事無く終わる---はずだった。

全く予測しなかったその動作に一条は虚を付かれた。
薙刀の幹が盾とした木に打ち付けられた次の瞬間に『薙刀が途中で折れて刃の部分が木を周り込んできた』。
反応できたのは全くの偶然、背筋を使って上体を限界まで反らす。
ブリッジの体勢となった一条の鼻先を文字通り皮一枚の差で白銀の刃が通り過ぎた。
驚愕する間も無く分離した刃の部分がくるりと連結部分を軸に回転して打ち下ろされる。
一条はその第二撃を常人離れした腹筋の力で上体を起こし回避した。

「驚いた?」

一条の表情を見て高野は可笑しそうに笑った。
見れば薙刀の先端部分、長さにして三分の一程が途中で鎖によって連結されている。
高野は軽くねじ込むと再びそれは薙刀としての形を取り戻した。

そもそも何故あんな長い武器が支給品として入っていたのか。
考えれば大きさが限られていたリュックにはとても収まらない。
高野は早いうちにそれに気付いて大塚に疑問をぶつけていた。
種明かしは簡単、分割された状態でリュックに入っていたのである。
捻って連結を外せば薙刀から三節棍の状態へ。
親切にも大塚はそれを高野に実演して疑問を解消してくれたという訳だった。

「……変わったオモチャなんですね」

ただの長物と思ったのは誤りだった。
いくら接近戦に自信があったとしても不用意に近付けない。
そこで一条は遠距離攻撃に切り替える。

「では、これならどうですかっ!」

今度は一条が先に仕掛けた。
目に付いたもの---頭程の大きさもある石を素早く拾い上げて高野に向かって投げ飛ばす。
これにはさすがの高野も面食らった。
払い除けるのが不可能なそれを素早く横に避ける。
その隙に一条が足をとろうと低空タックルを試みた。
しかし高野は一条の裏を狙って木を足場に跳躍する。
突然足が消え、慌てて一条が上を見上げると振り下ろされる薙刀の切っ先が目に入る。

体を捻って辛うじてよける。
外れた切っ先はそのまま地面へと突き刺さった。
だが次の攻撃はすぐに来た。
突き立った薙刀を支点に高野は全体重と重力による加速を乗せて空中回し蹴りを側頭部目掛けて叩き込んだ。
だが一条は倒れない。
反射的に右腕でガードしてしたのだ。
高野も反動を利用して薙刀を抜き、着地と同時に再び仕掛ける。
連結を解除して薙刀を分割、刃の付いた先棍で一条を狙う。
しかし一条もようやく闇に慣れてきた。
左手で刃の無い部分を受け止めると反対から迫る後棍も右手で受け止める。
衝撃と痛みが走るがそんな事は構わない、これでようやく棍の動きが止まった。
それも高野の予想の内、固定状態の中棍を手掛かりにして体を持ち上げガラ空きの顎へ強烈な膝を叩き込む。
今度こそ完全なクリーンヒットが一条へと決まった。

---こういう時って星が本当に見えるんですねヒ

激しく脳を揺さ振られ、一条はチカチカする星を脳裏に見た。
命の危機というのに何故かそんな事を考えてしまう。
そのまま急速に意識が暗くなってゆく。

そこは暗闇だった。
上も下もわからない全くの闇。
そんな場所でどこまでも落ちてゆくような感覚に一条は陥っていた。

---私、負けたんでしょうか?今鳥さんの分も熕カきなければいけないのに

しかしもがこうとしても一向に体は動かない。
絶望感、そして恐怖感が次第に膨れ上がってゆく。
このまま闇の中に落下してゆくのかと諦めかけたその時、突然何かに支えられる感じがした。

『あ〜あ、しょうがねえなイチさんは。俺が支えてやるよ』
『かれん、前に言ったでしょ?あんたなら私に出来なかった事も出来るはずだって。でも今は力を貸してあげるね!』
『一条君しっかりしたまえ!立てないから委員長として僕が手を貸そう!』

聞こえるのは聞きなれた声。
そして二度と聞けないはずの声。

---今鳥さん、嵯峨野、花井さん、どうしてこアこに?

気が付けば三人が自分を支えてくれている。
落下する感覚は既に無く、逆に上に向かっている気がした。

『僕が代表して話そう!情けない事に僕は死んでしまった、だから生きている君を助けるのだ!』

花井の熱血な様子は別れる直前そのままだった。
思わず目頭が熱くなる。

『あ〜、こんな所で泣くなよ』
『そうそう、今は泣いている場合じゃないわよ?』

そんな一条を今鳥や嵯峨野も励ました。
何時の間にか周りは白くなっている。
三人の別れを告げる声が聞こえた直後、一条は意識を取り戻した。

気絶していたのはほんの十数分の一秒の僅かな時間なのだろうか。
気が付けば全てがスローモーションの状態だった。
高野はまだ着地すらしてない。
ひどくゆっくりと空中を移動しているように見えた。
崩れようとする自分の体を踏ん張って支える。
全身が感覚を取り戻し、顎の痛みを噛み締めた途端時間は急速に動き出した。

高野は決まったと思ったにも関わらず一条が倒れない事に軽い驚きを感じたが
ならば、と攻めの手を休めない。
しかし高野の驚きはここからだった。

---厄介ね

ここに来て一条の様子が変わった。
休んだとはいえ、溜まった疲労は相当なものだったはず。
なのに今はベストコンディションとしか言い様が無い身軽さで高野の攻撃を避けている。
逆に今度は高野の方が追い詰められつつあった。

何故そんなに戦えるのか?
高野にはそれが解った、支えてくれている人が居るのだと。

---でもそれは私も同じ、天満と美琴が見守っチてくれる

捕まったらその時点で勝負が決まる、高野はヒット・アンド・アウェイに徹した。
深追いせずにダメージの蓄積を狙って少しづつ一条の傷を増やしてゆく。
だが一条は傷をまるで意に介さずに攻めてくる。
ランナーズハイ、そんな状態かもしれないと高野は思った。

「一条さん、夢でも見た?」

気になって声を掛けてみる。

「ええさっき見ました。とても良い夢でした」

あの場違いな笑顔で一条は答える。

「聞きたいですか?」
「結構よ」

高野は即答した。
知りたい事はそれで十分だったから。


---私は負ける訳にはいかない
---三人と八雲ちゃんの為にも負けない
<
二人にはお互い譲れないものがあった。


       ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


雪野美奈はそんな二人の戦いを離れた位置で見詰めていた。
仲間の一条を応援するでも無くただ高野の姿を追っている。

---あれが本当の高野さん、やっぱり格好いい「んだなあ

嘘くさい笑顔も欺瞞に満ちた言葉も無く、”一条を殺す”という意思を全身で曝け出している高野の姿。
その偽りの無い彼女こそが雪野は見たがっていたものだった。

憧れて、出会って、信じて、裏切られて、そして親友を殺されて。
思えば私はこの島で出会ってから高野さんのことを一番考えてきた。
親友の舞や順子よりももっとずっと頭にあったのは高野さんの事だった。

今だってそうだ、高野さんは順子を殺してまた私の心を釘付けにしている
憧れから憎しみまで私の感情はどんどん高野さんに奪われてゆく。

ああ、やっぱり私は高野さんの虜なんだ。
このままじゃ抜け出せない。

---だから私は高野さんを撃つ、高野さんが隠Bし持っていたこの銃で。

雪野は両手で銃を構えた。
一条から高野が離れた瞬間に撃てるよう狙いを付ける。
高野、そして一条もそんな雪野に気付いてない。
それが雪野の気に障った。

---何で私に気付かないの高野さん!?本当にノ撃つよ!だからこっちを見てよ!

今の高野には一条の姿しか見えていない、その事に気付いて雪野の感情が急速に溢れ出した。
愛情、憧れ、憎しみ、悔しさ……、自分でも把握できない様々な感情が頭の中で入り混じる。

---離れてよ一条さん!高野さんが見てるのはヘ私じゃないと嫌なんだよ
---高野さんを殺せば私のものという事になる驍フかなぁ?うん、きっとそうだ
---順子、舞、今から高野さんを殺してあげる

もはや訳がわからない、雪野は感情に流されるまま引き金を引いた。
一条はまだ高野の側から離れてはいなかった。

雪野の誤算はフルオートで撃つ反動を知らなかった事。
反動で手首がぶれ、次々に撃ち出される銃弾は殆どが外れた。

もはや握り締める拳銃から弾は出なかった。
興奮が冷めてきた雪野は自分がした事の結果を見る。

高野は体勢を崩しながらも立っていた。
一条の方も不自然に膝を付いてはいるが生きている。
目の焦点が次第に合ってくると高野の様子が徐徐にはっきり見えてきた。

---高野さんこっちを見てる、ようやく気付い「てくれたんだ

殺せなかった、奇襲は完全に失敗した。
それでも雪野にとっては高野が自分を見てくれた事にどこか喜びを感じていた。
だが、高野の表情を見て雪野は凍り付く。

そこに見えたのは純粋な殺意。
冷たく輝く瞳で離れた雪野を射抜いていた。
動こうとする高野を一条が制する。
その隙に雪野は身を翻して逃げていた。


       ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


雪野を警戒しなかった事は高野の完全なミスだった。
しかし銃弾は確かに自分に命中したはず、なのに体は痛くない。
だがそれを考えるのは後で良い、負傷した一条よりも今は雪野を追おうとするとそれを制する声が掛かる。

「……行かせませんよ」

そう言って一条は立ち上がろうとしたがすぐに膝を付く。
高野とは違い、一条は無事な状態とは言い難かった。
命中したのは二発。
一発は腹部に、そしてもう一発は右膝を砕いていた。
そんな様子を見ていると高野も雪野を追う事は後回しで良いと思えてくる、とりあえず黙って一条と向き合った。

「はは……、これじゃあもうレスリングはできませんね」

パチン、と音がしたのは膝の靭帯が切れたのだろうか。
赤黒い染みで汚れる制服を抑えながら一条は力無く笑った。
重要な血管が破れたのかもしれない、次第に一条の顔から血の気が引いていく。
命に関わる事は誰の目にも明らかだった。
しかしこうなったのは予想外だが元より高野は一条を生かしておくつもりは無い。
せめて一瞬で楽にしてあげようと薙刀の切っ先を首元に向ける。

「じっとして一条さん、苦しまないように殺してあげるわ」

それが高野の情け。
だが一条は首を振って拒絶する。

「駄目ですよ、私はそんな選択はできません。それより続きといきましょう」

そう言って片足でゆっくり立ち上がる。
レスリングの構えを取り、高野にも準備するように促した。

「……いいわ、それが貴方の望みなら」

一条にも自分が致命傷を受けている事は解っているに違いない。
なら死に方ぐらい選ばせてあげようと高野は思った。

「勘違いしないでください、私は高野さんに罰を与えて生きるんです。死ぬ為じゃありません」

高野の考えを読み取ったのか一条がそう主張する。

「その体で私に勝てるはず無いでしょう?奇跡が起きて勝ったとしてもそのままじゃ貴方死ぬわよ」

薙刀を構えながら諭すように高野は語る。
しかし一条はあくまでも考えを崩さない。

「夢で花井さん達に会ったんです、私を支えてあげるって言われました。なのに私が諦めたら会わせる顔が無いじゃないですか」

その言葉は高野の心を動かした。
言われれば今の一条とあの正義バカが重なる。

---花井君、ひょっとして貴方も見ていたの?H

生きて会えなかった”最後の敵”と認識していた男。
一条がその遺志を受け継いでいるとしたら奇妙な巡り合わせだと思った。

「そう……、じゃあ貴方を殺すという事は花井君達も私が殺す事になる訳ね」
「言ったはずです、私は生きるんです。もう話は終わりですよ」

一条から流れ出る赤黒い液体は先程より広く制服を染めていた。
立っているのも辛いのだろう、一条は木に体を預けていた。
お互いを見やった後、最後の瞬間が訪れる。

一条は腕で木を押しのけ、その反動で足の力を補ってタックルを仕掛ける。
その目には絶望や諦めは無い、これからも生きるという意思に溢れていた。

---立派だわ一条さん、そして花井君
高野はすれ違いざまに薙刀を振るい、一条の首と胴体が切り離される。
やがて静寂が訪れ、高野は落ちている首と腰を降ろして向き合った。
月光に照らされた一条の首はどこか晴れ晴れとした表情をしていた。
高野は無言でその瞼を閉じさせてゆっくりと立ち上がる。

---雪野が邪魔をしなければ勝ったのは貴方かゥもしれなかった

ふと空を見上げると流れ星が落ちてゆく。
見守ってくれている誰かが哀悼しているのだろうか。
そんな事を思いながら高野は林を後にした。


リヤカーがあった場所に行ってみるがやはり雪野の姿は見えなかった。
軽く見た限りでもパソコン、狙撃銃など価値ある品も消えている。
だがまだ遠くには行ってないだろう。
休憩し、荷物を纏め次第後を追おうと決める。
残された荷物から水を取り出し乾きを癒しながら高野は残った疑問の事を考えた。
一条と自分の運命を分けたのは銃弾の行方。
何故自分は無傷だったのか。

---あの時、確かに私の体に銃弾が当たったはヘず
---衝撃をこのあたりに感じて

命中したと見当を付けた部分を手で調べていると何か異物の感触があった。
そこは制服のポケット。
高野は何を入れていたのかを思い出してポケットの中身を取り出した。

それは岡の靴下だった。
昼間、彼が自分と雪野の為に作ってくれた即席の武器。
銃弾は石の詰められたそれに当たって防がれたのだった。

『こんな姿で『お前を守る』って言っても説得力ゼロだけどな』

駒としてしか見なかった男の事が思い出される。
岡は死んでから高野との約束を果たしたのだった。

高野はしばし穴の開いた靴下を見詰めていた。
そして空を見上げ、変わらぬ姿を見せる月と星、そして見守っているかもしれない仲間達を思う。

「ありがとう天満、美琴、そして岡……いえ樺樹君」

月も星もその言葉に対して何も答えない。
高野、そして既に数える程しか残されていないクラスメートを見守る様に無言で輝き続けているだけであった。


       ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


雪野美奈は走っていた。
狙撃銃とバッテリーから外したパソコンを持って高野から少しでも離れる為。
このままでは確実に殺される、それは確信を持って言える。
だが、今雪野を動かすのは恐怖以外の感情も混じっていた。
その表情は良く変化し、時には笑みさえも浮かべている。

---どうしよう、きっと高野さんは追いかけてトくる
---でもそれって高野さんの方が私の事を考えヲてくれるって事だよね?
---じゃあ逃げていれば高野さんも一杯私の事魔考えてくれるかな?
---高野さんが欲しがりそうなものも持ってきォているし、きっと私の事を一番に考えてくれるよ
---ううん、それだけじゃダメ。一条さんみたスいに他の人を見るかもしれない

---だから私と高野さんが二人っきりになればホ高野さんは私だけを見てくれるかな?



【午後19〜21時】


【高野晶】
【現在地:E-03】
[状態]:肉体的に疲労(精神面は持ち直す)、警戒態勢、スカートの布地が若干破れている。
[道具]:支給品一式(食料0)、薙刀 、インカム子機
     雑誌(ヤングジンガマ)、岡の靴下
[行動方針] :必要な荷物を纏めて雪野を追う、可能なら播磨を言いくるめる(特にこだわってない)
[最終方針] :全員を殺し、全てを忘れない。反主催の妨害。

【雪野美奈】
【現在地:E-03】
[状態]:疲労、極度の精神不安定状態。高野への依存と憎悪が入り乱れる
[道具]:支給品一式(食料2、水1)、パソコン(バッテリー無し)、シグ・ザウエルP226(AT拳銃/残弾0) 、ドラグノフ狙撃銃/弾数9発
     雑誌(週刊少年ジンガマ)、ブラックジャック(岡の靴下でつくられた鈍器。脳震盪と嗅覚破壊のダブルパンチ)
[行動方針] :この場から離れる(雪野が逃げた方向については次の人にお任せします)

【共通:盗聴器に気付いています。】

※日本刀・工具セット(バール、木槌、他数種類の基本的な工具あり) はリアカーの近くにあります。
 ショットガン(スパス15)/残弾0はE-03南部の林にあります。
 リアカー(支給品*2(食料9、水0)、雑貨品(スコップ、バケツ、その他使えそうな物))はE-03南部にあります。


【一条かれん:死亡】


--残り6名




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