無題






そのころ、たけしはレーダーのある自室からの連絡をききながら
島内をうろついていた。明らかな召喚ミスで戦う術のない者達まで
呼んでいたことに気がついたからだ。戦えぬ者をいたぶり殺すのを
見て楽しむショーではない。虫けらのように無差別に大量虐殺
するショーでもない。人殺しとは、ただの殺生ではないのだ。

その筆頭がパックマンだろう。彼はいつも走り、食べるのみ。
殺し合いはおろか健全な格闘もやったことがない。
そういった人たちの元へ、扱いやすく且つ強力な武器を。
しかし、表だって追加支給しては他の者に示しがつかない。

かれら、戦いの苦手な者達のために、たけしみずからチョイスした
強力な武器が入ったディパックをかれらの近くにおいていった。
但し、火炎放射器の様な周囲を焼き尽くしたり破壊し尽くしたり
するようなタイプの武器は入っていない。また、食料は入ってない。
あくまで拾うという格好にさせて、彼らにも武器を。
あわよくば、我々をもっと楽しませるために。

お、まもなくパックマンがディパックを見つけだす頃だろう・・・

【『たけしの挑戦状』ビートたけし 島内散策中】



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