無題






 シーナ姫の傷はみるみる癒えてゆく。

「これが魔法というものなのか」  冒険者は感心している
「魔法があれば僕も戦える。シーナ、どうしてこれを?」
「ババロア様がもっていけ、って。ジョウバイタル・ジョウテンピ・スッテンバナナ、それに、、、」
「サルモネランだね。僕は4つしかもてないから、これで十分だよ」
「ねえ、どうしてもここで戦うつもりなの?」  少年を気遣うシーナ
「うん、僕には戦う理由ができたんだ」  強い意志をこめて少年は言う
「・・・じゃあ、私も帰らない。あなたと一緒に戦う!」
「シーナ、、、」

 二人の絆は深い。しかしその深さは危険を伴う。その事が冒険者にはわかっていた。
少年は幸せすぎた。彼を慕う4人の王女、彼を待つ国王の座と称える民衆、そして将来を誓った姫シーナ。
どれをとっても、あの竜騎士の激情を逆撫でするだろう。その怨念は誰よりも深い、、、
この指摘に少年は反論の術がない。沈黙が3人を包む、、、



 おもむろにシーナが立ち上がった。

「だったらこうすればいいんだろ!」  自らの後ろ髪を束ね一気にナイフを走らせた
「!?」  呆気にとられる二人
「私は今から男になる。ていうかこれが素の私なんだ」

 そう言うとシーナは足元に落ちた髪には目もくれず、平景清の甲冑を着込んだ。
そして自らの頬にナイフを当てて語りかける。

「必要なら顔に傷だってつけるよ。覚悟はできてるんだ」  シーナの表情に勇ましさがこもる
「わかった、また一緒に戦おう。あのときのように」

 少年は嬉しくてたまらない。そこにいたのは、王国のしきたりに染められた、どこかぎこちないシーナではない。
どんな困難をも共にできる、まさに最愛の人だったのである。
こうして少年とシーナは冒険者の元を離れていった。
あの竜騎士に見つからない為に、目立たない為に、冒険者を巻き添えにしない為に、、、

「男装で、あのカインをごまかす事ができるのだろうか?」  冒険者の不安は消えない

【『ビタミーナ王国物語』 主人公 魔法入手  シーナ(男装) 甲冑入手(景清所持品) 】
【『スペランカー』 主人公 刀入手(景清所持品) 単独行動 】



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