無題






「人間って脆いですね、主人公さん。簡単に壊れてしまう」
「お、お前……」
俺は、眼前に広がる光景が信じられなかった。
あの時、ゲーム開始の部屋で密かに廻って来たメモ。
『ここが本当に島なら南の端で待っています』
それに従い、俺はここに来た。かつて共に、死線を潜り抜けた
三人……いや、今回は>>12の力によって実体のない者にも
実体が与えられたので四人。その四人が力を合わせれば、
必ずこの状況を切り抜けられると。
だが、その場所に辿り着いてみれば……その『四人目』が、
二人目と三人目を殺していた。
ブルーとリミが、死んでいた。
どんな殺し方をしたのか、某フレスコ画家の屋敷に出没する
バケモノのように、下半身が消滅している。
そして『四人目』が……ミオが、言った。
「思い起こせば、ライーザから降りることもできず、さんざん
こき使われた私。そこで私は、コインを投げたのです。
表が出れば坂持氏の命令に従う。裏が出ればこのゲームに乗ると」
「同じだ、おいっ!」
「敵影発見、センサー作動……」
言うが早いか、ミオは支給武器を俺に向けた。

イ カ ロ ス 砲 だ っ た

全長数十キロの宇宙要塞ならざる俺は、その一撃であっけなく
消滅していきながら……薄れる意識の中で思った。
「そういえば、あの長い戦いの中で……俺は一度も、ミオの
笑顔を見たことがなかった……」

【『銀河の三人』主人公三人死亡。ミオのみ生存】
ミオ「ぱらららっ」



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