子供の権利条約








 これで何回目になるのだろう。
 10回目までは数えていたがそれ以降はそんな余裕はなくなっていた。
「げほっ……はあ……はあ……うっ…」
 床、商品棚、辺り一面に吐瀉物が撒き散らされた。
 吐瀉物の上に新たな吐瀉物が降りかかり、『あの男』の悪意の塊が床に広がる。
「はあ……はあ……あかね…生きてる……?」
「あいつを……殺すまで…死ね……ない」

 やはり自分達は二人で一つなんだ。
 同じ顔、同じ思考、同じ目的、同じ人生……
 そう、何も言わなくても想いは一緒だ。
 自分達と父親以外の人間は世界には必要ない。
 理想とやらのために無理矢理呼んだ奴、『あの男』、あの男の傍に居た女……全て必要ない。

   信じられるのは己が半身、そして未だ見ぬ父親だけ。


 気分が落ち着いてきた。
 胃の中が空っぽになったのが幸いしたのだろう。
 生きている事を確かめながら二人はゆっくりと立ち上がる。 

「殺そう、『あの男』を──全員殺そう、なおみ」
「この世界にはパパはいない……敵しかいない。みんないらないね、あかね」
 生きる為の技を使っても、他人を利用しても構わない。
「か弱い少女と冷たい目をした『あの男』……他人はどっちに味方するかしらね?」
「言い訳をするのか……それとも只の殺人鬼か。『あの男』の本性を見届けてやるわ」
 そうだ──どの道『あの男』の末路は決まっているのだ。


   玲二が置いていった薬を踏み潰す。
「どうせ毒なんでしょう? どこまでも馬鹿にして、嘲笑って、そしてゴミのように捨てる気だったんでしょう?
 ……でもね、そうなるのはあなたの方よ」

【鳳あかね@零式 状態○ 装備品 AK47(使いやすい火器だが、子供につき命中率低め)クレイモア地雷x2 (狩?招?)】
【鳳なおみ@零式 状態○ 装備品 AK47(使いやすい火器だが、子供につき命中率低め)プラスチック爆弾 (狩?招?)】

【行動目的:絶対に二人揃って生き延びる、吾妻玲二だけは絶対殺す】
【満月の夜後】



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