拳に誓う、漢の美学






漫画ロワ書き手が一人、エース。
滾る血潮、沸きあがる情熱、そして不屈の闘志をその身に纏い、書き手ロワ2ndの地を駆け抜けた炎の闘将。
強敵と競うことを選び、友と組むこともなく、最強への道を歩んだ男。

その彼が

「あああああああああああああああああああ!!」

血の涙を流し啼いていた。
誰かに裏切られたからではない――信じると決めたのが己なら、恥はしても悲しみはしない。
誰かに完膚無きに負けたからでもない――泣いている暇があるのなら特訓して相手を超えよう。
誰かを守れなかったからでもない――仮面の下の、涙を拭え。

この感情は、悲しみではない。怒りだ。おめおめと生き返った自分と、生き返らせた主催社への怒りだ!
彼は思い出す。この会場に来る前の記憶を。
お互いの意地を賭けたダイナマイトアンデッドとの壮絶な死闘を。
残念ながら死の間際は朦朧としていて、はっきりとダイアンを地に伏せた覚えはない。
だが、エースは、自分が負けた等とはさらさら思ってはいない。
己こそが最強だと一度死んだ今でも自負している。

それでも、彼は死んだのだ。ダイアンの一撃が原因で。
褒めるのは癪だが、敵ながら見事な漢だった。
ダイアンだけでは無い。
彼が殺したBOID、メリーゴーラウンドオルセンの二人もだ。
そんな彼らと死合え、その果てに死ねたのなら、それはそれで本望だった。

なのに、今、俺はここにいる。俺だけが第二の生を許されているっ!!

そのことがたまらなく屈辱だった。
漢が全てを出し尽した戦いの結果を汚されたことが許せなかった。

そう、許せない。
漢達の誇りを踏みにじった主催者も、その体現たる己さえも。
故に、彼は天に拳を突き上げ、吠える!

「マーダーたるエースはあの場で死んだ、もういない!
 ここにいるは一人の漢!!対主催のエースだあああああああああああああああ!!」

許せとは言わない。
ボイちゃん、オルセン、ダイアン。
お前たちを殺しておいて厚かましいが、俺は生きよう。
対主催として無様に二度めの生を戦い抜こう。

だから、首を洗って、腕を磨いて待っていろ。
二度目の死を迎え、あの世に行った時に、俺をがっかりさせてくれることのないようにな!

拳に誓った漢の耳が、ふと人の声らしきものを拾う。
それが拡声器による女の呼びかけだと気付いたエースは、声のする方へと走り出す。


今ここに、一人の熱き漢の反逆が始まった!!




【エース@書き手ロワ2nd】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式、不明支給品×?
【思考】
1:声の主と接触する。
2:対主催として最強のストライカーを目指す。

※この話はエースがネームレスと出会う前の話です。



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