『同じ志』
「実に厄介なことになりましたね……」
冥府十神のうち、三賢神の1人のスフィンクスは荷物一式を携えてそう呟きながら森林を進んでいた。
かつて彼女のいた地底冥府インフェルシアは支配者たる絶対神ン・マが打倒されたことにより、
平和な世界になり、スフィンクスとその部下となった妖幻密使バンキュリア達によって復興されることとなった。
そんな矢先、スフィンクスはこのバトルロワイアルに本人が望まぬまま参加するはめになったのである。
(たしか、小津家の次女にブレイジェルにサンジェルまでもこのような場所につれてこられた……そして)
スフィンクスには気になることがあった。ティターンの存在である。
ティターンはかつて、絶対神ン・マの依り代にされて死んだはず。
まさか、甦ったのか?
(黄泉帰り……ありえない話ではないでしょう……もしも会う時があるのなら、本人に聞いてみるしかありませんね)
どちらにせよ、今は小津麗とブレイジェル、サンジェルとの合流が先決だった。
そして、一刻も早くこの愚かなゲームを止めなければならない。
スフィンクスはそう考えていた。
(さて、どうしたらいいのでしょうか?)
スフィンクスが足を進めると、声が聞こえてきた。
(おや、ここには私以外にもいるようですねえ……)
スフィンクスは考えた。
もし、自分に協力してくれる仲間となる人物ならよいが、参加者の中に紛れていた化物達やかつてのダゴン達の様な邪悪な気配を感じた者たちだったらどうするべきか?
彼女は常に冷静である。こういう時はいかに対処するべきか……それも心得ていた。
(こちらからは接触するべきではないでしょうね)
彼女の判断は実に適切だった。
自分からわざわざ命を晒して、会いに行くほどリスクが大きい行為はないだろう。
ならば、今は不確定要素には極力避けるべきだ。
そうスフィンクスは判断したのだった。
だが、声の主は向こうから接触してきた。
「待ってください!」
「おや、そちらからコンタクトを取ってくるとは……」
やがて、茂みからある1人の男が出てきた。
見る感じ、青年のようだ。
「あなたは何者ですか?」
スフィンクスは男に当然の行動として問う。
「僕の名は高山我夢、あなたと同じようにこのゲームに参加させられたものの一人です」
男は我夢と答えた。
「奇遇ですね、私もこの望まぬゲームに参加させられた者の一人ですよ、名をスフィンクスと申します」
「スフィンクス……ギリシャ神話に出てくる謎を掛けて旅人を襲って食べてしまう怪物?」
我夢はそう言ったが、むしろ彼女の装飾品からエジプトの女神を連想できていた。
「地上界ではそうなのかもしれませんね……」
「地上界?」
「地上界とは、人間達の住む世界。まあ、あなた達が住んでいる世界というべきですね」
スフィンクスは我夢の身なりから判断して、彼が地上界のものだとすぐにわかった。
「ここはあなただけですか?」
我夢はスフィンクスに逆に聞いた。
「ええ、私とあなただけのようですね……さて、あなたもこのゲームを良くは思っていないようですね」
「はい、こんな馬鹿げた殺し合いなんて間違っている……」
我夢は他の参加者や自分と同じように連れてこられたかつての仲間の藤宮博也のことが心配だった。
「ならば、私と一緒にいきましょうか?」
「えっ?」
スフィンクスの言葉に若干驚いた。
「そう警戒しないで欲しいものですね、私は参加者と一緒にいた邪な者達とは違います。あなたも私と考えが同じならばここは共に行動するべきでしょう」
「………分かりました、僕はあなたと一緒に行きます」
スフィンクスと我夢は志を同じとする者ということで手を組むこととなった。
(私はまた信じてみますよ、勇気を)
(藤宮……無事でいてくれ)
【スフィンクス@魔法戦隊マジレンジャー】
[状態]:健康。
[装備]:なし
[道具]:荷物一式(支給品=不明)
[思考]:基本行動方針:愚かなゲームの阻止
第一行動方針:麗、勇、ヒカルと合流
第二行動方針:我夢と行動
第三行動方針:もしもの場合はティターンと接触
【高山我夢@ウルトラマンガイア】
[状態]:健康。
[装備]:なし
[道具]:荷物一式(支給品=不明)
[思考]:基本行動方針:ゲームの阻止
第一行動方針:スフィンクスと行動
【現在時刻:1日目 00:30】
【現在位置:A-3 森林】
前話
目次
次話