『序章』






「んっ・・・?」
 薄暗い部屋の中で少年、安達明日夢は目覚めた。
 見知らぬ大広間の中だ。
 照明が幾つかあるにはあるが学校の体育館程はあるであろう、この鉄製の部屋にはあまりにも心持たない。
 そして周りを見渡せば自分の他にも人が居るのが分かる。
 男性、女性、年齢も服装も様々だ。中にはまるで仮装パーティの様な姿の者まで居る。
 しばらく唖然とし停止していた思考を回転させ、自分が何故こんな所に居るのか思い出そうとする。

 思い出そうとはするものの一向に答えは出てこない。
 自分を落ち着かせようとしてみたものの結局混乱したままである。
「誰か、知り合いが居ればいいんだけど・・・」
 自分ひとりでは不安なままである。
 誰か知り合いを見つけ、話し合い、納得のいく答えを見つけ出せれば気分が少しでも落ち着くかもしれない。
 ヒビキの様な頼れる大人が居れば答えが見つからなくとも安心は出来る。
 無意識の内にそう考えると明日夢は周りを見渡した。
 だが周りに居る人々を見ても知り合いは居ない。
「少し、移動してみようかな。」
 明日夢が動き出そうとしたとき、部屋の中央部にステージが競り上がりスポットライトが当たった。
 鷲のマークの付いたステージの上には三人の人間が立っていた。
スポットライトに当てられた一人、青い服を着た女性の口が開く。
「ハーイ!皆さん、お目覚めのようですね!おはようございまーすっ!
 ワタシはスマートレディ。今回、このゲームの進行役を勤めさせていただく事になりましたぁ。
 これからヨロシクねっ!」
 今まで部屋の中を包んでいた空気とは余りにも似つかわしくない元気な声が響いた。
「どういうつもりなんだ」「ここから出せ」「家に帰してくれ」
 様々な人々の罵声がその三人に向けられる。
「話は最後まで聞いたほうが身のためですよ〜ミナサン!
 あっ、ちなみに私、こういうものです。」
 次に口を開いたのは中年の男性だ。
 人間とは思えないスピードで部屋に居る全ての人間に名刺を配っていく。

「貴様、シャマー星人だなっ!」
 特徴的な赤と白で彩られた服を着た男、トウマ・カイトが叫ぶ。
「ウヘェヘェヘェ!久しぶりだなぁ、DASHの諸君?
 しかし残念だが、今回は君らと遊んでいる暇は無いんだよ」
「あのぉ〜?感動の再会の最中に悪いんですけど、進行進めちゃいますよ?」
「おっといけない!とにかく私は今回のゲームの開催場提供と進行をやらせてもらうシャマー星人だ!」
「それでは最後の一人神崎士郎さん、このゲームの趣旨とルール説明よろしくお願いしまーす。」
 いままでの二人とは明らかに異なる雰囲気を持った神崎士郎と呼ばれた男。
「お前達には殺し合いをしてもらう。」
 その言葉に耳を疑い、またざわつき始める人々。


「ふざけた事を言うなっ!殺し合いなど宇宙警備隊隊長のこのゾフィが許す訳にはいかない!」
 赤と銀の色をしたゾフィーと名乗る宇宙人が三人の元へと向かう。
 ただの人間である明日夢に彼の声が伝わったのはテレパシーなのかこの部屋一体になにか仕掛けでもあったのだろうか。知る由も無い。
「どうしても逆らう気か?」
「当たり前だ!」
 そう言い放つゾフィーがM87光線のポーズを取る。
「シャマー星人、首輪を爆破させろ。」
「りょーかい!」
 楽しそうにシャマー星人が手元のスイッチを押す。
 ボンッと言う爆発音と供にゾフィの首から上が弾け飛んだ。
 あまりにも呆気なさすぎるやられ方に皆、声も出ない。
「逆らえば、こういうことになる。お前達の首に付いている首輪が何よりの証拠だ。」
 淡々と進むルール説明。神崎は最後にこう付け加える。

「戦え!」と・・・

【ゾフィー@ウルトラマン 死亡】
【残り99人】




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