妖怪と妖精






「そろそろ出てきたらどうだ?」
お伽話から抜け出てきた白亜の城に美しい声が響く。
その声を発したのは、これまたお伽話から抜け出した様な見目麗しき青年。
鮮やかな着物に身を包む青年は大鎌を持った右手を掲げる。
「出て来ぬならば・・・」
姿勢をかがめ
「こちらから行くぞ」
疾風のごとく駆ける。
30歩ほどの間を瞬く間に駆け抜け、振り下ろした大鎌は白亜の壁を切り裂いた。


同時に硝子の割れる音が響く
「・・・逃がしたか」
青年は大鎌を構えなおす。
すでに逃げた曲者に興味は無く、青年の思考は手にした大鎌へと向いている。
その大鎌は青年の目から見ても素晴らしい一品であった。
軽く、鋭く、何より己の妖力を何倍にも増幅してくれる。
「この鎌なら父上の刀にも見劣りせんな」


父の刀、と考えたトコでふと不肖の弟のことを思い出す。
あの半妖とその連れもこの場所にいるはずだが・・・
「あの女はともかく、私の手に掛かる前に死ぬほど無様ではあるまい。」
冷笑とともに思考から切り捨て、青年は威風堂々と城の正門へと向かった。
「やれやれ、気付かれるとは思わなかったな。」
その様子を影から見送り、ため息をつくのは学生服の少年。
先の青年を尾行していた彼は壁越しに切りかかられるやとっさに窓に向かってコンパスを
投擲することで注意をそらし、同時にさらに気配を殺すことで逃亡したように錯覚させ難
を逃れていた。
「それにしても、この遊園地にはあんなのがまだまだ居るのか・・・」
これ以上の尾行は危険と判断し城に留まった少年は最初の広間の光景を思い出す。
迂闊な接触は避けるべきだろう、先の青年にしても追撃してきても先手は取れただろうが
そのあとはどうなるか判らない。何より誰が敵で誰が味方か判らないバトルロイヤルでは
自分で戦うのは得策ではない。確実に信用できる人物とだけ接触すべきだろう。
「奴らが潰し合うのを待つしかないか・・・」
何人死ぬだろうか、と思うと暗鬱になってくる少年であった。
【中央・白亜の城/早朝】
【殺生丸@犬夜叉】
[状態]健康・上機嫌
[装備]エルザーレの鎌@うしおととら
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.適当にぶらつく
   2.邪魔者は殺す
   3.主催者を殺す

【御神苗優@SPRIGGAN】
[状態]健康・やや暗鬱
[装備]不明
[荷物]荷物一式(食料&水二日分、コンパスは投げて手元に無い)
[思考]1.周辺の捜索
   2.信用できる人物と接触(今のところ染井芳野とボーマン)
   3.ゲームからの脱出

備考:中央のお城の一室の壁が切り裂かれ、窓が一つ割れています。
   投げたコンパスはこのあと優が回収するはずです。
   優はアーマードマッスルスーツを装備していません。
   殺生丸の左腕の状態は後の書き手さんに任せます。



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