西部を征服した銃






「地図にコンパスに鉛筆にカ○リーメ○トにビスケットに飲料水に・・・やっぱり無い・・・」
何度デイバッグをあさっても支給品が見つからず、盛大にため息を着く和也。
ゲーム開始後、気がつくと西部劇風の建物にいた和也はその場でデイバッグの中を検分している
のだが、何故か主催者の言っていた品のうち「ランダムアイテム」だけが見つからない。
「ひょっとして俺だけ配り忘れたとかいうオチか?」
思わず眩暈がしてきた

「素手であんな怪物相手にどうしろってんだ・・・」
そのためのランダムアイテムだろう、と毒づく。
体力にも喧嘩にもそれなりに自信はある、が流石に化け物を相手にする度胸は無い。
最初に集められていた場所で、和也は自分の前の方にいた巨大な金色の獣が電撃を放つの
を目の当たりにした。さらに名簿にはあの化け物(とらと言うらしい)にそっくりな紅煉
という化け物も乗っていたし、人間にも軍人風の人物やあからさまに危ない風体の人物が
記載されている。
そんな連中相手に素手で立ち向かうなど考えたくもなかった。
すっかり意気消沈した和也であったが、仕方なく武器になりそうなモノを求めて建物内を物色する。
改めて酒場風の店内を一通り見回して行くうちにカウンターの前に立つ、カウンターはガラスケース
になっていて・・・中には西部劇に出てくるライフル銃が多数。
「まさか本物になってたりしないよな・・・」
うろ覚えではあるが彼が以前このテーマパークに来た時、この建物は射的のアトラクションだった。
勿論ライフル銃は模造品であったのだが、期待半分・諦め半分でケースを開けライフル銃を取り出す。

 ライフル銃は、ずしり、と重かった

以前触った時はこんなに重くはなかった気がする、微かな不安と興奮を感じながらも和也は試しにその
ライフル銃を構え的へと銃口を向け・・・ごくり、と息を呑み引き金を・・・
銃口からは紫煙が登っている。
肩に食い込む銃把の感触を思い出し、ブルリ、と身体を震わす。

本物だった。
射的ゲームの模造銃は本物の“銃”となっていた。
恐らくはコレこそが彼の“ランダムアイテム”だったのだろう。
下手すれば見逃してしまうような、なんとも回りくどく主催者の底意地の悪さを表す
支給の仕方ではあったが。

「本物の・・・銃・・・」
手にした暴力の象徴を呆然と眺めながら和也は思考を再開する。
銃は人類が生み出した暴力の到達点だ、老若男女、力も体格も関係なくたった一発の
弾丸で人間と熊との力の差すらも覆してみせる。銃さえあれば一介の高校生でもあの
化け物たちに立ち向かえる、そんな幻想さえ生み出すほどに・・・

「これがあれば、アニキも南も・・・守れる。」
初めて触れる“力”を手に和也はいささか興奮していた。
「これがあれば、このゲームだって・・・」

彼が手にしたのはライフル銃はウィンチェスターM1873。
西部開拓時代、最も多くの死を生み出した“西部を征服した銃”である。
【D1/ワイルドウェスタン・シューティングサルーン/早朝】
【上杉和也@タッチ】
[状態]健康・やや興奮
[装備]ウィンチェスターM1873(装弾数13発)19丁・弾丸多数
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.達也・南を探す
   2.達也・南を守る
   3.生き残る

・D1のシューティングサルーンにはウィンチェスターライフルが19丁あります。
・和也がこの19丁のライフルと弾をどう扱うかは次の書き手さんに任せます。



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