無題
「さぁて、どうしたもんかなぁ・・・・」
山下智久は特に何も考えないで夜を歩いていた。
とはいってももうすぐお日様が出てくる。その前に誰か殺さなくちゃ俺の首輪が爆発しかねない。
だがやはり抵抗がある。あるに決まっている。
そう考えている間に片手のGPSは自分以外の二つの点を映し出した。
ええと、地図から見てそこは・・・丸山か。しょうがない。今から殺す人。ごめんなさい!
不本意だが山下はその点に向かって走り出した。
一方丸山のふもとでは、すっかり意気投合した亀梨和也と押尾学がいた。
「これからどうします?」
亀梨は自分の不安を喋った。声も少し震えている。
「そうだよなぁ。うーん。とりあえず信用できると奴誰かいるか?」
できればこの質問は今の状況下残酷だったため避けたがったが押尾は一応聞くことにした。
「・・・・・山下って知ってます?ええと、NEWSの山下智久。俺これから死ぬにしてもあいつには会っておきたいんです。」
「あぁ、あいつか。俺も一応顔は知ってるよ。じゃあそいつを探すか。」
とりあえず何かしたかった押尾はすぐに立ち上がって、深呼吸する。
しかし、これが押尾にとって最後の深呼吸になるとは思わなかっただろう。
どさっと言う音と亀梨の顔に何かがかかった。ゆっくり押尾の方を見る。
押尾の頭の上半分がなくなっていた。この時点で先程自分にかかった液体は血であることがわかった」
この辺か・・・・。
ちょうどいい茂みを見つけた山下はそこに隠れる。幸い距離もちょうどいい。押尾学さんか。
死角のためあと一人は顔が確認できなかった。が、今から殺すのに顔なんか知っておく必要なんかない。
そう考えて茂みから銃を構え、じっくり押尾を狙う。こういうの苦手なんだけどな・・・
さらにむこうがしゃがんでいる為狙いにくい。じっくりと立つのを待つことにした。
運がいいことに1分も立たずして押尾は立ってくれた。動くなよ・・・・いまだ!!
パーン。音が抑えられているとはいえ、やはり少し音は鳴った。
その音に驚いたが、すぐに押尾の状態を確認する。よし!命中した!
さて、もう一人も・・・・・。すかさず身を隠していた茂みから立ち上がって銃を構えた。
「え?ちょっと・・・・・押尾さん?」
まるでビブラートのように震えた声で押尾に話しかける。
しかしもう既に死体と化した押尾は喋らない。死人に口無し、という奴だ。
「誰だ・・・・?誰だ!!!!!」
今度は力強く、はっきりと声を出す。普段はこんなに大きな声はでないが、今は特別怒りが後押ししてくれた。
がさっと音がする。すかさずその方向へ懐中電灯の光を向ける。
その瞬間、お互いに固まることになるとは思ってもいなかった。
山P・・?なんで・・・・?
亀梨は驚きで固まった。それもそのはず。今信用できるといったばかりの人間が目の前で人を殺したのだ。無理もない。
「違う・・・・違うんだ・・」
山下は喋りだす。どんな一流の弁護士でも今やったことに対して弁護しろといわれても出来るはずがない。
「何が違うんだよ・・・・・おい!!!!」
亀梨は怒りで今にも飛び掛ってきそうだった。何とかしなければ・・・・
「・・・・・殺さなけりゃ・・・・・俺が殺されるんだよ・・・・」
山下は泣きそうな声で喋る。泣いていたかもしれない。
「押尾さんがお前を殺すって言うのか!?いい加減にしろ!!」
ついに積もりに積もった怒りで亀梨は銃を取り出した。
UZIサブマシンガン。さっそうとカステラ箱を構えると、山下は少し後ろに下がった。
「違う!!!!俺が殺されるって言ったのは・・・」
「もういい、黙れ人殺し。」
亀梨は喋る暇も与えなかった。引き鉄を引く。
あれ・・?引き金が引けない。安全装置を解除し忘れているのだ。
普通こういう場面では目を瞑るのが当然なのだろうが、山下は目を瞑らなかった。
逆に人殺しという言葉に怒りさえ感じていたのだ。
俺が人殺し・・・?どれだけ俺が悩んだと思っているんだ・・・・。こいつは殺す!
亀梨が焦っている所に、すいっと銃を構える。
そして亀梨とは違い慎重に、撃つ、パーン、撃つ、パーン、撃つ、パーン
撃つ、パーン、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ。
残りの弾が残っていないのも気づかないほど彼は狂っていた。
やっと冷静になって亀梨が死んだことに気づく。
そうだ。みんなそうなんだ。一皮向けば信用してたこいつだって俺にマシンガンを向けてきた。
そんなの卑怯だ。俺はみんな堂々と殺してやる。
亀梨のもとへ行きマシンガンを拾う。これからかけることもないであろう安全装置を外し、歩き出した。
陽が出てきて辺りは明るさに包まれる。
皮肉にも死んだ亀梨の顔は撃たれずにすみ、綺麗だった。
皮肉にも生きている山下の顔は暗かった。
「フハハハハハハハハハ!ちょいと早い気もするが"期待”通り亀梨は山下を狂わせてくれたようだな。」
デーモンは放送前、満足そうに笑いながらその様子をカメラで伺っていた。
【亀梨和也、押尾学、死亡】
【丸山の麓/早朝】
【29番 山下智久】
[状態]: 血まみれ
[装備]: UZIサブマシンガン ワルサーP38消音器装備((装弾8・予備弾8)) ヌンチャク(押尾の武器)
[道具]: そのまま GPS
[思考]: 1、皆殺し
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