無題






「とにかく、片っ端から殺しまくってやる。
 そして、優勝して勝利の栄光を…」
ガクトは、そう自分に言い聞かせながら歩いていた。
彼は、既にこのゲームに乗ってしまったのだ。

バトル・ロワイアル―殺し合い―。
彼は、元々こういうものが好きだった。
しかし、小説の中だけのこと。
現実は、そう甘くはなかった。

「そういや、支給品があったな」
ガクトがバッグの中を探っていると、

ピタッ
冷たい感覚。

「死ね」
冷酷な声だった。

『こ、こんな所で終るのか…
 クソッ!!』
ガクトは、がむしゃらにバッグを後ろにはらった。
それは、運よく清春の腕を後ろに逸らした。
ガクトはそのスキに相手と間合いを取る。

マーダー同士二人の闘いは今、始まろうとしていた。



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