FFAP第三話A『無題』






傍でむせ返る馬鹿女(セリスと名乗った)を無視して俺は長老に歩み寄った。
「長老!長老!」
乱暴にその肩を揺する。
―まさか、そんな。
信じられなかった。さっきまで元気だったというのに、そんなはずはないと思った。
「う…、うぐぐ…」
長老が呻きを漏らす。
―良かった、まだ息があった。
「長老!」
思わず俺は歓喜の声を上げた。

それにさっきまでむせ返っていたセリスの表情が変わった。
「チ…、じじいの癖にしぶとい…!」
そう言って腰に下げた剣に手をかけた。
―ヤベェ!
俺は咄嗟に壁に立てかけられた山刀を拾うと、まだ剣も抜かないセリスに踊り掛かった。
とにかく、こいつを撃退しなければ長老が危ない!
「うぉおおおお!!!」
誰の声だ?新手か?…いや、この声は?
「長老!?」「ジジイ!?」俺の叫びとセリスの叫びが重なる
「ワシを勝手に殺すな!ちょっと意識が飛んだだけじゃ!」
(それも十分ヤバイだろ)と俺は思ったが口には出さなかった
「チッ、氏に損ないめ!私がこの手で始末してあげる!」
そういうとセリスはすでに剣を構え長老に飛び掛かってきていた
「だめだ!間に合わない!長老―ッ!」
ザシュッ!



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